トップ2016年・犬ニュース一覧5月の犬ニュース5月31日

指示を出す時の飼い主の機嫌が犬の反応性を変える

 「ポジティブ」と「ネガティブ」という正反対の調子で犬に指示を出した場合、犬はネガティブモードの指示に対してためらいを見せることが明らかになりました(2016.5.31/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのはアメリカ・ユタ州にあるブリガムヤング大学のチーム。犬に対して指差しジェスチャーを出す際、「ニュートラル」、「ポジティブ」、「ネガティブ」という3つの機嫌モードを絡めたところ、以下のような結果が見られたと言います。なお「ポジティブ」とは「高い声+笑顔」、「ネガティブ」とは「低い声+しかめっ面」のことです。
指示者の機嫌と犬の反応
  • ニュートラル餌がある場所への指示→○
    餌がない場所への指示→○
  • ポジティブ餌がある場所への指示→○
    餌がない場所への指示→○
  • ネガティブ餌がある場所への指示→△
    餌がない場所への指示→△
指示を出す時の人間の機嫌は、犬のリアクションを変化させる  「ニュートラル」と「ポジティブ」のときは、指示した場所に餌があろうとなかろうと、見知らぬ実験者が出したジェスチャーに従って探索行動を見せました(○印)。ただし「ポジティブ」なモードで指示を出したところで、犬の行動が「ニュートラル」に比べて早くなるということはなかったと言います。一方、「ネガティブ」のときは、指示した場所に餌があろうとなかろうと、ジェスチャーから探索行動を開始するまでの時間が長くなったそうです(△印)。
 こうしたデータから調査チームは、過去の実験が示しているような「ポジティブなモードが犬の行動を促進する」といった現象は確認できなかったものの、「ネガティブなモードが犬の行動を遅延させる」という現象は確認できたとしています。 Does affective information influence domestic dogs' (Canis lupus familiaris) point-following behavior? Your dog doesn't trust you when you're angry, study finds

解説

 今回の調査で明らかになった知見は、犬に対して何らかのコマンドを出すときに役立ってくれそうです。犬に指示を出すときは、「少なくとも不機嫌ではない」ということを明確に伝えるため、いつもよりも少し高い声を出した方がわかりやすいでしょう。逆にやってはいけないのが、イライラしながら低い声で「おすわり!」などと乱暴に指示を出すことです。これでは犬が「なんか不機嫌だなぁ…」と感じて行動に移るまでの時間が伸びてしまいます。その結果「飼い主が不機嫌になる→口調がネガティブになる→犬の行動が遅延する→飼い主がますます不機嫌になる・・・」といった悪循環に陥ってしまうでしょう。 犬に最適な名前と命令