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奇病「シャーペイ熱」を引き起こす原因遺伝子が特定される

 極端にシワが寄った顔が特徴の「シャーペイ」に関し、この犬種にだけ発症する病気の原因遺伝子が特定され、事前の遺伝子検査も可能となりました(2016.5.16/スウェーデン)。

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 「シャーペイ」は中国において漢の時代から存在している古い犬種で、その独特の風貌からアトピー性皮膚炎、全身性毛包虫症、特発性皮膚ムチン沈着症、眼瞼内反、短頭種気道症候群といった病気を発症しやすいことで知られています。また1~3日間持続する発熱が散発的に起こる「シャーペイ熱」という犬種固有の疾患を抱えていることでも有名です。 HAS2遺伝子とシャーペイ熱との関連性が解明された  この犬種の遺伝子を20年以上研究しているスウェーデン・ウプサラ大学の研究チームは2011年、極端にシワが多い個体では「ヒアルロンサンシンターゼ2」(HAS2)と呼ばれる酵素の生成に関わる遺伝子(HAS2遺伝子)に変異があることを突き止めました。また2013年には、「シャーペイ熱」がHAS2遺伝子が引き起こす5つの症状のうちの1つであるとして「シャーペイ自己炎症性疾患」(Shar-Pei Autoinflammatory Disease or SPAID)と命名し直しています。そして今年、「Droplet digital PCR」(ddPCR)という最先端技術を用いて遺伝子を解析したところ、HAS2遺伝子上にある特定領域のコピーナンバーが多ければ多いほど発症のリスクが増すことがわかったと言います。具体的にはコピーナンバーが5つある場合、4倍の確率で発症するなどです。
 HAS2遺伝子は「シャーペイ自己炎症性疾患」のほか、関節炎、外耳炎、小水胞性ヒアリン症、アミロイドーシスの発症にも関わっていると推定されていますので、事前の検査で関連遺伝子のコピーナンバーを調べ、ハイリスクな個体を繁殖ラインから除外していけば、「皮膚病のデパート」と呼ばれるこの犬種の苦しみをいくらか軽減することができるだろうとしています。 A genetic test for Shar-pei autoinflammatory disease Absolute quantification reveals the stable transmission of a high copy number variant linked to autoinflammatory disease