詳細
調査を行ったのは、ハンガリー・エトヴェシュ・ロラーンド大学の動物学チーム。行うのが簡単で、なおかつ信頼度が高い犬用の嗅覚テストを作るため、「人慣れした狼」(12頭)、「嗅覚の良さを基準に選択犬種されてきた犬種」(14頭)、「嗅覚の良さ以外を基準に繁殖されてきた犬種」(15頭)、「マズルが短い短頭種」(12頭)という4つのグループを対象とした自然環境下における実験が行われました。具体的な内容は、陶器製の4つのコンテナの1つにだけ餌(七面鳥の生肉)を隠し、餌を入れる容器の空気穴を変えることで匂いの度合いを調整するというものです。少ない穴の数で餌の場所が特定できたら、それだけ鼻が良いということを意味します。
上の写真のようにして難易度を5段階に分け、各段階で4回ずつテストを行ったところ、各グループで以下のような成績になったと言います。
上記したように、難易度が最も高い「レベル5」の時の成績は「非嗅覚犬」と「短頭種」で偶然レベルだったのに対し、「狼」と「嗅覚犬」だけは偶然をはるかに超える成績を収めました。さらに、狼5頭と犬の中からランダムで選んだ7頭を用いて同じテストをもう一度行ったところ、狼においてのみ成績の顕著な増加が見られたとのこと。
こうしたデータから調査チームは「マズルが短い犬は嗅覚がやや劣ってしまうこと」、「当検査手順が犬の嗅覚に関する適性を見極める際の実用的なテストになり得ること」、および「当テストは繰り返し行わなくても、一度行うだけで再現性のある結果が得られること」などの可能性を明らかにしました。今回得られた知見は、嗅覚によって対象物を見つけ出す各種探知犬の選別試験などに応用される予定です。 A Test of Canine Olfactory Capacity: Comparing Various Dog Breeds and Wolves in a Natural Detection Task
こうしたデータから調査チームは「マズルが短い犬は嗅覚がやや劣ってしまうこと」、「当検査手順が犬の嗅覚に関する適性を見極める際の実用的なテストになり得ること」、および「当テストは繰り返し行わなくても、一度行うだけで再現性のある結果が得られること」などの可能性を明らかにしました。今回得られた知見は、嗅覚によって対象物を見つけ出す各種探知犬の選別試験などに応用される予定です。 A Test of Canine Olfactory Capacity: Comparing Various Dog Breeds and Wolves in a Natural Detection Task
解説
犬の鼻の良さに関しては近年、ジャーマンシェパードを対象としたDNA検査により、ある特定の遺伝子が関わっている可能性も示されています。調査を行ったのは中国の国立警察大学校を中心としたチーム。警察犬として訓練された48頭のジャーマンシェパード(オス28頭+メス20頭)に「人間」、「覚せい剤」、「トリニトロトルエン」という3種類の匂い刺激を嗅がせて嗅覚テストを行った後、嗅覚受容器に関連した12の遺伝子中にある22ヶ所のSNPs(※)を精査しました。
- SNPs
- 読み方は「スニップス」で、日本語では「一塩基遺伝子多型」と訳される。長大なDNAを構成しているアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の塩基のうち、一つの塩基だけ他の塩基に置き換わっている状態が、ある特定の集団内で1%以上の頻度で見られること。