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調査を行ったのはイギリス、アメリカ、スペイン、インドなどからなる共同研究チーム。チームはオーストラリア、インド、ヨーロッパ、アメリカなどに生息する13種のイヌ科動物から6,000に及ぶ遠吠えサンプルを録音すると同時に、YouTube上で犬の遠吠えサンプルを集めました。それらのサンプルを最終的に2,000にまで絞り込んだ後、特殊なアルゴリズムを組み込んだ機械に学習させ、ピッチや抑揚から音声学的な分類を行いました。その結果、遠吠えには21種類の基本的なパターンがあることが判明したと言います。そしてこれらのパターンは、動物種によって使い分けがなされているとも。例えば、シンリンオオカミ(timber wolf)は抑揚のない重低音、アメリカアカオオカミ(red wolf)は抑揚のある高い遠吠えなどです。
オオカミの遠吠え
こうした事実から調査チームは、イヌ科動物には種によって「方言」のようなものがあり、それを使い分けることによって何らかのコミュニケーションをとっているという可能性を突き止めました。これらの知見は、絶滅の危機にある種を遠吠えで呼び寄せて交配と個体数回復につなげたり、録音した声を流してオオカミを農場から遠ざけるといった形で応用されていく予定です。
Disentangling canid howls across multiple species and subspecies
Wolf species have ‘howling dialects’