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犬は声と表情の両方から人間の感情を読み取る

 「怒った顔」と「笑った顔」という2枚の写真を用いた凝視テストにより、犬は人間の表情と声の両方から感情を読み取れるかもしれないという可能性が示されました(2016.1.18/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのは、アメリカ・リンカーン大学の研究チーム。チームはさまざまな犬種からなる17頭の犬を静かで薄暗い部屋に導き、目の前のスクリーンに「ネガティブな表情」(怒っている/攻撃的)と「ポジティブな表情」(笑っている/陽気)という2枚の写真を同時に見せました。写真のモデルは「犬」と「人間」の2パターンです。そして写真を提示すると同時に、ポジティブなトーンとネガティブなトーンのどちらか一方を再生し、声のトーンと合致した方の写真を見た場合は「一致」、声のトーンと合致しない方の写真を見た場合は「不一致」としてリアクションを観察しました。
 その結果、合計188回のテスト中、犬たちは偶然をはるかに超える67%という高確率で「一致」パターンを見せたといいます。そしてこの傾向は、提示された刺激が犬であっても人間であっても、男性であっても女性であっても、写真の位置を左右入れ替えても変わらなかったとのこと。また刺激は人間のものよりも犬のものの方が、幾分か合致率が高かったそうです。
 こうした知見から研究者は、犬は視覚的刺激と聴覚的な刺激を頭の中で組み合わせて認識することができるという結論に至りました。異種に属する動物の声と表情を判別するという能力は、人間以外では初めて確認されたことから、犬が家畜化される過程において、人間によって培われてきたのではないかと推論しています。 Dogs recognize dog and human emotions 犬の認知能力を確認するために行われたクロスモーダルテストの模式図

解説

 過去の研究において、犬には「人間の怒った顔と笑った顔を見分ける」(→出典)、「声だけから体の大きさを予測する」(→出典)、「犬の声だけから文脈を予測する」(→出典)といった能力があるようだとの報告がなされています。今回の調査では、同種の動物(犬)であっても異種の動物(人間)であっても、犬は音声的な情報と視覚的な情報を結びつける能力があるらしいことが示唆されました。両方を合わせて推測すると「犬は人間の表情を見ただけで感情を理解できる」となります。犬を飼っている人なら直感的に知っていることでも、科学的に実証しようとするとなかなか難しいものです。
 犬が目と耳の両方で人間の感情を読み取ることができるのなら、高齢になって耳が不自由になった犬に対しては表情を用いたコミュニケーションを多用し、逆に耳は聞こえるけれども目が不自由になってしまった犬に対しては、声の調子を用いたコミュニケーションを多用するといった応用が効くかもしれません。 犬に最適な名前と命令