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犬の「過剰な興奮性」は十分に予防が可能

 飼育放棄の原因になりやすい犬の「過剰な興奮性」に関する統計的な調査が行われ、問題を事前に予防するためのヒントが示されました(2016.4.11/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのはアメリカ・マサチューセッツ州にある動物保護シェルターとタフツ大学からなる共同チーム。過剰な興奮性を見せる犬の行動修正計画の一環として、2012年9月~11月の期間、ニュースサイト、ブログ、ソーシャルメディアなどを通じて参加者を募り、合計175人の飼い主に対してアンケート調査を行いました。応募者の資格は「すぐに興奮してどうにも手に負えない犬を飼っていること」で、アンケートでは日常生活の中で頻出する「帰宅した時」、「TVを見ている時」、「犬と遊んでいる時」、「食餌の準備中」、「リードを手にした時」という状況における犬の興奮度を主観的に評価してもらいました。その結果、以下のような傾向が浮かび上がってきたといいます。 日常生活の中でよくある状況と犬の興奮度
特記事項
  • 不妊手術を受けた犬の興奮度は顕著に低い
  • 犬の年齢と興奮度は弱く関連
  • 犬の体重と興奮度、飼い主の不満度は弱く関連
 調査の結果、特に「帰宅した時」と「犬と遊んでいる時」という状況において、犬の興奮度が高まりやすいという傾向が明らかになりました。また単純に、犬の興奮度が高ければ高いほど、飼い主の不満度も高まるとも。今後の課題は、飼い主の年齢、性別、家族構成、他のペットの存在、家庭環境、日常的な活動といった特性を明確化し、犬の興奮度との関連性を考察していくことだとしています。 Characteristics of Excitable Dog Behavior Based on Owners’ Report from a Self-Selected Study

解説

 今回の調査では、当初の予想に反して「食餌の準備中」における犬の興奮度が極めて低いという傾向が確認されました。この原因として研究チームは、飼い主が「待て」や「おあずけ」といったしつけを比較的しっかりやっていたからではないかと推測しています。また過去に行われた調査では、「"初めて犬を飼う"という飼い主の側の要素と、"過剰な興奮性"という犬の側の要素が関連しあっている」(→出典)とか、「飼い主が抱いている不安感と、犬の過剰な興奮性や転位行動が関連しあっている」(→出典)といった報告がなされています。こうした事実から類推すると、飼い主が適切なしつけさえ施せば犬の興奮行動はある程度抑制できるという問題行動予防のためのヒントが見えてきます。
 アメリカ国内で行われた調査では、「飼育放棄によって犬を保護施設に持ち込んできた飼い主のうち53%は過剰な活動性を原因として挙げていた」(→出典)とか、「言うことを聞かないことが飼育放棄理由の13%を占めていた」(→出典)といった報告がなされています。日本国内においても同様の傾向があるのだと仮定すると、犬の興奮行動を適切なしつけによって予防することは、飼育放棄の割合を減らして行く際に極めて重要な位置を占めていくことになるでしょう。 犬のしつけ方