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動物のテレパシー事例~人とペット・個体同士・群れの中

 人とペット間、動物の個体同士・群れの中など、動物間で見られるテレパシー事例集でをご紹介します。こうした事例は科学で説明できるのでしょうか?それとも科学を超越しているのでしょうか?

ペットと飼い主の間のテレパシー事例

 ペットと人間との間のテレパシーは非常に多くの飼い主が報告しています。1995年、イギリスとアメリカにおける無作為選択調査で、ペット所有者に対して「自分が考えている内容や無言の命令に、ペットが反応するか」と質問したところ、平均して犬の飼い主では48%、猫の飼い主では33%が「はい」と回答しています。また「自分とペットがテレパシーでつながることがあるか」という質問に対しても、平均して犬の飼い主では45%、猫の飼い主では32%が「はい」と回答したとのこと。
 ペットの飼い主たちが「テレパシー」の存在を実感した具体例として、以下のような体験が紹介されています。「飼い主がペットのテレパシーを受け取ったという事例」よりも、「ペットが飼い主のテレパシーを受け取った」という事例の方が圧倒的に多いようです。 ルパート・シェルドレイク著「あなたの帰りがわかる犬」(工作舎)・第8章「テレパシーの呼び声と命令」(P180-)
ペットと飼い主の間のテレパシー
  • ジェイン・ペンニイさんイギリス・コーンウォールに住むジェイン・ペンニイさんは、「目を覚まして大きい青いボールを持っておいで」と心で念じると、それまで眠っていた愛犬マッジャーズがおもむろに目を覚まし、念じていたとおりの青いボールをくわえて飼い主の所にもってきたと報告しています。
  • ジョン・コレンさんイギリス・サウスエンドに住むジョン・コレンさんが盲導犬と歩いている折、「午後になったら八百屋に立ち寄ってりんごを買おう」と心に思ったその途端、本来の目的地から離れて盲導犬が八百屋に向かって進路をとったそうです。
  • ウラジミール・ベクテレフ氏セントペテルスブルグのサーカスで見たフォックステリアのピッキは、調教師が心の中で念じた作業を感じ取り、そのまま遂行する能力があったといいます。ロシアの生理学者・ウラジミール・ベクテレフ氏はこのピッキを使い、微妙なボディランゲージから意図が伝わる可能性を排除した環境で同様の芸をさせてみました。結果、やはり同じ能力が確認されたため、ベクテレフ氏は「特に訓練された犬は、飼い主の暗黙の指示に影響されることがある」、そして「命令の送り手と犬が直接的に接触していなくても有効である」という結論に至っています。

個体間でのテレパシー事例

 群れという巨大な集団ではなく、2頭~数頭程度の小さな集団において、個体同士が親密な関係にある場合、テレパシーのようなものが働くことがあるようです。以下は、親密な関係にある動物同士のテレパシー事例です。 ルパート・シェルドレイク著「あなたの帰りがわかる犬」(工作舎)・第9章「動物同士のテレパシー」(P223-)
個体間でのテレパシー
  • ウマイギリスのウマ調教師・ハリー・ブレイク氏の実験によると、同腹(どうふく=親が同じ)の兄弟姉妹、もしくは一緒にエサを食べたり散歩したりするような緊密な関係にあるウマ同士を別々の場所に置き、一方にだけエサをやったときの他方の様子を観察したところ、24回中21回において、見えないはずの相方に呼応するように、興奮してエサを求めるしぐさを見せたといいます。
  • イヌニューヨーク・ロックランド州立病院に勤務する精神科医・アリステッド・エスナー氏による実験では、ボクサー犬とその仔犬を別々の部屋に置き、仔犬を驚かせてみると、別の部屋にいるはずの母犬がその様子を見ていたかのようにそわそわしたそうです。またボクサー犬の飼い主を別部屋において同様の実験を行ったところ、やはりボクサーの心拍数が上昇するという現象が観察されたとのこと。
  • ウサギフランスのルネ・ペオク氏の実験によると、同腹のウサギを別々の檻に入れ、一方のウサギだけにストレスを与えるという実験を行ったところ、音も動きも電磁波も遮断されているはずの他方の檻内のウサギも、なぜか3秒以内にストレス反応を示したといいます。

巨大な群れの中でのテレパシー事例

 昆虫、鳥、哺乳類、魚などが多数集まって1つの集団を形成するとき、その集団がまるで1個の生命体であるかのように振舞うことが古くから観察されており、時に「超個体」(ちょうこたい)という表現が当てられることもあります。そしてこの「超個体」を上部から統制しているものは、五感を超えたテレパシーなのではないか、と推論する人もいます。以下は動物や昆虫の群れが見せる、テレパシーを用いた(?)超感覚的な統制行動の事例です。 ルパート・シェルドレイク著「あなたの帰りがわかる犬」(工作舎)・第9章「動物同士のテレパシー」(P212-)
巨大な群れの中でのテレパシー
  • アリ南アフリカの博物学者・ユージーン・マレイ氏は、ユーメルテスという種のシロアリが作ったアリ塚を用いた先駆的な実験を行いました。マレイ氏はアリ塚に大きな裂け目を作り、働きアリがその破損した部分をどのように修復するかを観察したところ、アリたちは破損部の両側から集まり、中央に向かって修復を始めたとのこと。左右に分かれたアリ同士は互いに触れ合うこともなく、そもそも目が見えない種だからお互いの姿も見えないはず。にもかかわらず、アリたちは両側から淡々と修復作業を続け、最終的には元と寸分の狂いもないアリ塚が再生されたといいます。さらに左右に分かれたシロアリの間に障害物を入れ、感覚的な手段でお互いにコミュニケーションを取れない状態にして同様の実験を行っても、やはりアリたちは左右で同じ形の構造物を作り始め、障害物を取り除けばお互いがぴったりとくっつくほど正確な再生技術を見せたそうです。
     こうした実験からマレイ氏は、「アリたちはその場その場で考えながら行動しているのではなく、事前に計画があって、その計画に従って動いているだけだ」という結論に至り、この集団全体を統制する上部構造を「集団の塊」と表現しました。
  • 魚の群れが捕食者に襲われたときの防御行動の一つ「フラッシュ膨張」は、群れが攻撃を受けた瞬間に、個々の魚たちが中心部から一斉に遠ざかる現象のこと。この膨張現象は1/50秒という極めて短い時間でなされますが、この時間は魚が持つ神経内を通るインパルスの伝達速度よりも速いことが判明しています。ですから魚たちは、隣の魚の動きを見て反射的に方向転換しているわけではなく、感覚以外の何かによって統制されているのではないかと推論されています。
  • ウェイン・ポッツ博士が1980年代に行ったハマシギに関する研究で、ハマシギの大群が見せる「傾飛行」(けいひこう=群れがきれいに整列しながら方向転換などを行う飛行)は、群れの中の1羽~数羽の個体から始まり、そこから波打つように全体へ伝わることが判明しました。さらにこの波動が隣の鳥へ伝わる速度を平均すると15/1000秒(約1/70秒)程度であり、この伝達速度は鳥の神経組織が持つ反射速度の限界値を超えているとのこと。
     こうした事実からポッツ氏は「個々の鳥たちは、隣の鳥の動きに反応しているのではなく、群れ全体を包む運動波の存在を感じ取り、それに反応しているのだ」という結論に至っています。
  • カリブー(トナカイ)博物学者ウィリアム・ロング氏は、カリブーの群れを観察している最中、足に怪我を負った一頭を発見しました。気付かれないように近づいたつもりでしたが、茂みの中にいた傷負いカリブーに見つかり、ひどく怖がらせてしまいます。そのとき、群れの連中はロング氏のいた茂みから1.6キロほど離れていたにもかかわらず、すでに警戒態勢に入り、三々五々逃げ出した後だったとか。目や耳などの五感を用いて仲間の危機を察したとは考えにくい距離だったので、傷負いのカリブーは五感以外の何かに訴えかける警鐘を鳴らしたのではないか、とロング氏は推論しています。

動物間テレパシーの共通点

 人間と動物間にあるテレパシー、緊密な関係にある個体間にあるテレパシー、そして巨大な群れの中におけるテレパシーの事例を概観してきましたが、具体事例の参照元となった著書「あなたの帰りがわかる犬」の著者・ルパート・シェルドレイク氏は自身が集めた膨大な事例を検証し、動物間に存在するテレパシーの共通点を以下のように指摘しています。 ルパート・シェルドレイク著「あなたの帰りがわかる犬」(工作舎)・第9章「動物同士のテレパシー」(P227-)
動物間テレパシーの共通点
  • テレパシーは既知の感覚(五感)とは無関係に影響しあう
  • テレパシーは親密な関係にあり、強い絆で結ばれた個体間で発生しやすい
  • テレパシーは群れの中で全体行動を調整する重要な役割を担っている可能性がある
  • テレパシーの内容は、恐れや警戒などの感情、到着や出発、身の危険や死などが含まれる
 シェルドレイク氏は著書の中で、現代科学において「テレパシー=超常現象」としてとらえられ忌避(きひ)される傾向にあるが、今後研究が進めば、テレパシーはごく自然なものであり、進化の歴史の中で育(はぐく)んできた重要なコミュニケーション方法の一つであることがわかるだろう、という持論を展開しています。