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鉄道犬ボブ

 自らの意志で列車に乗り、オーストラリア中を旅した犬「鉄道犬ボブ」について解説します。

鉄道犬ボブとは?

 鉄道犬ボブ(Bob the Railway Dog)は、自らの意志で列車に乗り、オーストラリア中を旅した犬。
鉄道犬ボブの写真(1892)  ボブ(1882~1895)の来歴には曖昧な部分がありますが、ヘンリー・ホランヴィ氏が飼っていた母犬と、ジェームズ・モット氏が飼っていた父犬との間に生まれたとする説が有力です。この説によると、ボブにはコリーとキャトルドッグの血が混じっていることになります。
 生後すぐの頃は、父犬の所有者だったジェームズ・モット氏の家に暮らしていましたが、放浪癖が強く、生後9ヶ月の頃には、ろくに帰宅しないようになっていました。ボブの自由気ままな旅が始まったのは、恐らくこの頃からだろうと考えられています。
 鉄道工事に携わる工夫たちに付いて移動していたとする説がありますが、定かなことは分かっていません。しかし鉄道関係者からは「ナヴィ」(Navvy)という名で呼ばれ、親しまれていたことは確かなようです。
 そんなフーテンのボブが次に目撃されるのは、1880年代後半、アデレードから220キロメートルほど北に位置するテロウィという小さな町でした。当時ここで警備の仕事をしていたウィリアム・フェリー氏は、50頭ほどの犬を乗せた家畜トラックが、アデレードからやってきたのを目撃します。この犬たちは、カリートンで大繁殖した野ウサギを駆除するために召集されたものでした。鉄道犬ボブも、なぜかその犬の中に混じっていたといいます。彼のことを気に入ったフェリー氏は、犬たちの管理者とその場で話を付け、何とかボブを譲り受けました。
 このようにしてフェリー氏に飼われることとなったボブですが、その後も有り余る冒険心を抑えきることはできなかったようです。
南オーストラリア鉄道  1889年、フェリー氏が出世し、副駅長として西オーストラリアに移った頃には、ボブはすでに彼の元を離れ、列車を自由に行き来するようになっていたと考えられます。
 彼に関する目撃情報はたくさんあり、北はブリスベンから南はメルボルンまでと、非常に広い範囲を移動していたようです。
 このように、南オーストラリア鉄道に沿って移動し、自由気ままな旅を続けていたボブは、数多くの車掌たちと仲良くなり、後世まで語り継がれるようになりました。 The Story of Bob Bob the Railway Dog

鉄道犬ボブの写真

 以下でご紹介するのは、自らの意志で列車に乗り、オーストラリア中を旅した犬「鉄道犬ボブ」の写真です。 ジョージ・ヒスコックが撮影した鉄道犬ボブ
 1892年、ジョージ・ヒスコックがテロウィで撮影した鉄道犬ボブの写真。一度、ボブが鉄道沿いに暮らす羊農家に盗まれるという事件があった。その際は、南オートラリア鉄道が所有権を主張し、「窃盗で訴える!」と脅したことで事なきを得たという。写真の出典はこちら
イギリス国立鉄道博物館に展示されているボブの首輪
 羊農家による窃盗事件が起こってから、ボブには首輪が装着されるようになった。プレートには「引きとめないで走らせて。僕は車掌さんの犬・ボブだよ」と書かれている。この首輪は現在、イギリス国立鉄道博物館に展示されている。写真の出典はこちら
シルヴィオ・アポーニィが製作したボブの銅像
 2009年11月、オーストラリア南部の町・ピーターバラのメインストリート東端に、ボブの銅像が建立された。製作は彫刻家のシルヴィオ・アポーニィが担当。写真の出典はこちら