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犬の高カリウム血症~症状・原因から予防・治療法まで

 犬の高カリウム血症について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の高カリウム血症の病態と症状

 犬の高カリウム血症とは、何らかの原因により血中のカリウムの濃度があがってしまった状態を言います。
 カリウムは本来は体内に必要不可欠なミネラルのひとつですが、血中濃度が異常に上がりすぎた場合、体に重大な悪影響を及ぼします。特に心臓の機能が狂い、脈拍が不規則になる不整脈が発生すると、心停止から死にいたることもある恐ろしい病態です。
 犬の高カリウム血症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の高カリウム血症の主症状
  • 四肢のしびれ
  • 筋力低下
  • 吐き気
  • 脈拍の異常(不整脈・頻脈)
  • 死亡(重症例)

犬の高カリウム血症の原因

 犬の高カリウム血症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の高カリウム血症の主な原因
  • カリウムの過剰摂取  カリウムを含む食品を食べ過ぎ、体外への排泄能力を上回ってしまうと高カリウム血症になります。カリウムを多く含む食品としてはパセリ、味噌、よもぎ、アボカド、納豆、ほうれん草などが挙げられます。
  • カリウムの排泄不足  何らかの理由でカリウムの排泄が滞ってしまうと高カリウム血症になります。具体的には肝不全、急性腎不全慢性腎不全急性糸球体腎炎などによって引き起こされます。
  • カリウムの細胞外流出  細胞内に存在するカリウムが何らかの原因で細胞外への流出すると高カリウム血症になります。具体的には消化管からの出血、外傷・やけど・化学療法などによる細胞の一斉破壊、代謝性アシドーシスなどがきっかけとなります。

犬の高カリウム血症の治療

 犬の高カリウム血症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の高カリウム血症の主な治療法
  • 対症療法  疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。具体的には、生理食塩水の輸液、重炭酸ナトリウム、ブドウ糖液の投与、致死性不整脈の発生を防ぐ目的でカルシウム製剤を投与するなどです。
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によって高カリウム血症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。たとえば急性腎不全慢性腎不全急性糸球体腎炎などが原因となっている場合は、それら疾患への治療がなされます。