トップ犬の食事ドッグフード成分・大辞典増粘安定剤カラギーナン

カラギーナン~意味や目的から安全性まで

 ドッグフードのラベルに記された「カラギーナン」。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

カラギーナンとは何か?

 カラギーナン(carrageenan)とはガラクトースと硫酸から構成される高分子化合物の一種です。アイリッシュモスを代表格とする紅藻類などから採取され、消化管で分解されないことから食物繊維としても扱われます。なめらかな触感を出すときにも多用されます。カラギーナンの原料となる紅藻の一種「アイリッシュモス」(Chondrus crispus) 成分の分類上は「増粘安定剤」に属し、フードの食感を変えて犬の食いつきを良くする作用を持っています。
カラギーナンの安全性情報・概要
  • 厚生労働省=既存添加物
  • IARC=ポリギーナンは2B
  • EFSA=使用基準75mg/体重1kg/日
  • JECFA=使用基準未設定
  • ペットフード=水分含量80%のウエットフード1kg中6gまで

日本での安全性情報

 日本では厚生労働省によって既存添加物として認可されており、デザート、アイスクリーム、乳製品、飲料、ソース、パテ、コンビーフなどに幅広く用いられています。使用基準は特に設定されていません。
 食品添加物リストによるカラギーナンの定義は「イバラノリ、キリンサイ、ギンナンソウ、スギノリ又はツノマタの全藻から得られた、i(イオタ)-カラギナン、k(カッパ)-カラギナン及びl(ラムダ)-カラギナンを主成分とするもの」です。
 「カッパ」はリンイオンを含んで強固なゲルを形成するのが特徴です。「イオタ」はカルシウムイオンを含んで柔らかいゲルを形成します。「ラムダ」はゲルを形成せず、主として乳製品のかさ増しなどに用いられます。化学構造式は以下です。 カラギナンのサブタイプ~カッパ・イオタ・ラムダ

海外での安全性情報

 カラギーナンそのものに発がん性は認められていませんが、その分解物である「ポリギーナン」に関してはIARC(国際がん研究機関)によって「ヒトに対して発がん性の疑いがある」(IARC-2B)とされています。
 一方、カラギーナンは通常体内で分解されることはないため、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)では摂取量の上限を定めていません。
 EFSA(欧州食品安全機関)ではカラギーナンおよび藻類「キリンサイ属」の一日摂取許容量(ADI)を体重1kg当たり75mgまでと定めています。

ドッグフードに入れると危険?

 犬に対して長期的に与えた場合の安全性や危険性に関してはよくわかっていません。一方、犬を対象とした短期的な半精製カラギーナンの給餌試験では、30頭のビーグル犬(オスメス同数 | 1~11歳 | 10.9~19.0 kg)を10頭(オスメス各5頭)ずつからなる3つのグループに分け、水分含量79%の市販のウェットフード1kg当たり半精製カラギーナン6g、半精製カラギーナン60g、カラギーナン以外の増粘剤5.4gというバリエーションを設けて28日間に渡って給餌されました。ここで言う「半精製カラギーナン」とは紅藻を強アルカリ(水酸化カリウム)で高温処理した後、洗浄してアルカリ残滓および水溶性不純物を取り除き、水分含量12%になるまで乾燥させて粉末状に加工したものです。
 食後4時間のタイミングで毎日体調チェックを行うと同時に、週1のペースで体重とBCSチェックを、試験開始7日前、試験開始日、試験終了時のタイミングで血液検査を行ったところ、カラギーナンが原因と思われる異常は見当たらなかったといいます。
 こうしたデータからEFSAは、1ヶ月程度の短期間という条件付きなら、水分含量80%のウエットフード1kg中6g、水分含量12%のドライフード1kg中26.4gまで安全だろうと結論付けています出典資料:EFSA, 2023
 なおLD50(半数致死量)に関しては、カラギーナンカルシウム塩をラットおよびマウスに経口投与したときでそれぞれ5,140mg/kg、8,710mg/kg。カラギーナンナトリウム塩をラットおよびマウスに経口投与したときでそれぞれ5,650mg/kg、8,730mg/kgと報告されています。
通常はペットフードの中に、上記したような大量のカラギーナンが含まれることはありませんので、ドッグフードに微量が含まれていても犬の健康に対して危険性はないと考えられます。