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シェップ

 病死した主人を6年間に渡り駅で待ち続けたアメリカの忠犬「シェップ」について解説します。

シェップとは?

 シェップ(Shep)は、病死した主人を6年間に渡り駅で待ち続けたアメリカの忠犬。
グレートノーザン鉄道のフォートベントンをねぐらとしていたシェップ  シェップの飼い主は、モンタナ州フォートベントンの聖クレア病院に入院していた羊飼いの男性でした。彼は東部の出身でしたが、家族を自宅に残し、牧羊犬のシェップだけを付き添いで連れてきていました。しかし、入院生活が始まってからわずか数日後の1936年8月、彼は静かに息を引き取ります。葬儀はしめやかに行われ、遺体を載せた棺はグレートノーザン鉄道の駅から、男性の家族が暮らす東部へと送り返されました。
 残されたシェップが駅に姿を見せるようになったのはこの日からです。突然主人を失った彼は、駅の下に寝泊りし、1日4回到着する汽車を出迎えるという生活を始めました。結局この日課はほぼ毎日、約6年間続いたといいます。しかし当初地元の人々は、シェップを単なる野良犬だと思っていたため、かなり邪険に扱っていました。
日本の忠犬ハチ公同様、駅周辺をうろつくシェップは当初、厄介者扱いを受けていた  彼に対する冷遇を変えるきっかけになったのは、当時車掌を務めていたエド・シールドが作ったパンフレットです。彼は、「駅をうろついている犬は、実は亡き主人の帰りを待つ忠犬である」という話をこのパンフレットに記載し、汽車の中で販売するようになりました。この「忠犬シェップ」の話は、暗い世相の中で生きていた当時の人々の心を明るくし、彼をたちまち人気者に変えます。
 さらにその後、全米中のトンデモ話を集めた人気雑誌「Ripley's Believe It or Not!.」でも取り上げられ、彼はアイドルとしての地位を不動のものとしました。
 当時のシェップ人気はすごく、彼宛のファンレターが届き、学童たちはクリスマスプレゼントを贈り、彼の姿を一目見ようと、駅には連日多くの人が詰め掛けたといいます。
 すっかり町の人気者になった彼が、汽車に轢かれてこの世を去ったのは、1942年1月12日のことです。原因は、耳がほとんど聞こえず、汽車が接近する音に気づかなかったからだと言われています。
 2日後に開催された彼の葬式には、地元の人々を中心に200人以上が参列し、町長によって賛辞が読まれました。その後に設けられた彼の墓は、今日でも、丘の上から町を見下ろしています。 Shep RoadsideAmerica.com Missoulian

シェップの写真

 以下でご紹介するのは、病死した主人を6年間に渡り駅で待ち続けたアメリカの忠犬「シェップ」の写真です。 モンタナ州フォートベントンの丘にあるシェップの墓
 1988年、アメリカのラジオパーソナリティ・ポール・ハーヴェイがシェップについての話をオンエアしたことをきっかけに、下火になっていた彼の人気が再燃したといわれている。地元のコミュニティは観光客に備え、それまで荒れ果てていた墓場を整備し、墓に至るまでの小道も作り直した。写真の出典はこちら
ミズーリ川のほとりに立つシェップの銅像
 1994年、芸術家ボブ・スクリバーにより、等身大よりもわずかに大きいシェップの銅像が建立された。資金は、観光客にミニチュア像や記念レンガを販売して集められたという。場所はミズーリ川のほとり。写真の出典はこちら