トップ有名な犬一覧歴史や伝説になった犬バリー

バリー

 生涯で40人もの遭難者を救ったとされる伝説的な犬「バリー」について解説します。

バリーとは?

 バリー(Barry)は、生涯で40人もの遭難者を救ったとされる伝説的な犬。
生涯で40人以上の遭難者を救ったとされるスイスの英雄犬バリー  スイスとイタリアの国境付近にある「グラン・サン・ベルナール・ホスピス」では、17世紀中ごろから犬を飼うことが慣習となっていました。現在に至るまで非常に多くの犬を飼育してきましたが、その中でも最も有名なのが、セントバーナードの「バリー」です。1800年に生まれた彼は、1814年に息を引き取るまで、何と40人もの遭難者を救ったとされています。
 バリーが生きていた時代には写真や映像がまだなかったため、詳細に関してはどうしてもフィクションが入り込んでしまうようです。
バリーの武勇伝としては、子供を背負って修道院まで連れ帰ったという話が有名  例えば、バリーの武勇伝として「氷の洞穴で眠っていた子供をなめて温め、自分の背中に乗せてホスピスまで戻ってきた」という話が有名ですが、実際は修道院に戻って人を呼んだだけのようです。
 またバリーの死に方に関しては「バリーに救助された兵士が、目の前にいた犬をオオカミと勘違いし、刺し殺してしまった」という話が有名ですが、実際はスイスの首都ベルンに送られ、余生を過ごしたそうです。
 その活躍については虚実ない交ぜの部分があるものの、現在「ベルン自然史博物館」に展示されているバリーのレプリカは本物です。彼の死後、遺体は博物館に寄贈され、皮膚が剥製化されました。1923年や1978年の改修を経て、現在は当時の姿に近い姿が再現されています。 Barry(dog) NMBE

バリーの写真

 以下でご紹介するのは、生涯で40人もの遭難者を救ったとされる伝説的な犬「バリー」の写真です。 1906年に描かれたバリーの姿
 1906年に出版された「犬辞典」的な本の中では、当時のバリーの姿をイラストで確認することができる。セントバーナードといっても、1800年代当時の犬の体格は、現代のものよりかなり小さかった。現代のセントバーナードが65~85キログラムであるのに対し、バリーは40~45キログラム程度しかなかったと推定されている。写真の出典はこちら
ベルン自然史博物館に展示されているバリーの模型
 スイスの「ベルン自然史博物館」に展示されているバリーの模型は、皮膚だけが本物で、あとはレプリカ。首から下げられている小さな酒樽は1923年の改修で後付されたものだが、これは著名な動物画家ランドシーアが描いた「Alpine Mastiffs Reanimating a Distressed Traveller」という作品に由来している。お酒を遭難者の気付け薬として用いたという有名な話も、実は都市伝説の一種。写真の出典はこちら
フランスの動物霊園にあるバリーの記念碑
 フランスの動物霊園「Cimetiere des Chiens」の入口付近にあるバリーの記念碑。女の子を背負っているデザインは、「子供を背負って修道院に帰ってきた」という都市伝説に着想を得たのだろうか。写真の出典はこちら