トップ愛犬家の基本ドイツのペット産業犬の遺棄や飼育放棄

ドイツにおける犬の遺棄や飼育放棄

 ドイツにも簡単に犬を飼育放棄する人、道端に犬を遺棄する人、飼い犬を迷子にしてしまう人がいます。日本では環境省が行政機関における引き取り数の統計データを取っていますが、連邦制であるドイツでは個々の州に任されているため「ドイツ全体で年間○○頭の犬が飼育放棄された」とか「年間○○頭の犬が所有者不明動物として施設に収容された」といった統計データはありません。

飼育放棄された犬はどうなるのか?

ティアハイムに保護されます。

 飼い主が自分でティアハイム(動物保護施設)に持ち込んだ場合は、引き取り費用のほか、譲渡されるまでの飼育コストを負担するのが一般的です。こうした「飼育放棄」は違法ではありません。

遺棄された犬はどうなるのか?

所有者不明の犬として自治体に保護されます。

 日本と同様、高齢、病気、経済的な問題などを理由にペットの遺棄をする人間はいます。街中に飼い主不明の犬がいると住民からすぐに消防署や警察に連絡が行き、速やかに地元のティアハイム(動物保護施設)に収容されます。「ドイツに野良犬はいない」と言われているのはこのためです。
 自治体が保護施設を所有していない場合、保護された犬は民間のティアハイム内に専用に設けられた委託保護スペースで飼養され、一定期間(通常は半年)はその自治体が費用を持ちます。しかし一定の期間が過ぎた後は自治体の手を離れ、飼育費用を含めたすべてが保護施設を運営する組織にゆだねられます。
 飼育放棄した場合の出費を拒む人の中には、首輪やIDを取り外した上で路上に捨てたり、ティアハイムの門前に鎖でつないだままトンズラしてしまう人もいます。これは遅かれ早かれ、市民からの通報によりティアハイムに収容されることが分かっているからです。しかしこうした「遺棄」は飼育放棄とは区別され、違法行為として最高で2万5千ユーロ(約350万円)の罰金が課されることもあります。
 さらに近年問題になっているのが、東欧諸国からドイツ国内に違法に持ち込まれた後、売れ残った犬たちです。悪徳販売業者が100頭単位で路上に遺棄するため、犬たちを保護するティアハイムの人員的・金銭的な負担になっています。

迷子犬はどうなるのか?

自治体に捕獲された後ティアハイムに保護されます。

 迷子になった犬の捕獲は本来行政の仕事ですが、その地域にあるティアハイムが肩代わりしていることも少なくありません。その場合、本来行政機関が持つべき飼育費用を施設が負担することになります。しかし行政から受ける支援は必要経費の半分ぐらいしかないため、ティアハイムにとって大きな経済的負担になっています。
 なおティアハイムに収容された迷子犬の90%は元の飼い主に返還されます。

日本の遺棄や飼育放棄との違い

 日本においてもドイツにおいても迷子犬がいるとすぐに捕獲されます。犬に対する心配や咬傷事故予防が両国に共通する動機ですが、日本の場合はそこに狂犬病予防法による捕獲規定が加わります。
 ドイツは動物愛護の先進国と思われがちですが、普通に犬の遺棄や飼育放棄はあります。問題が表面化しにくい理由は、ティアハイム(動物保護施設)という力強い受け皿があるためです。