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オス犬が片足を上げておしっこをする

 雄犬のいわゆる”掛け尿”(片足を上げておしっこをすること)という習性は、生後8〜9ヶ月頃に始まることが多いようです。これは生理学的には雌犬が最初に迎える発情期に一致しており、 尿中の男性ホルモン(テストステロン)を雌の鼻に近いところに残すことで、自分の存在をアピールしている可能性があります。 解剖学的には、雄犬のペニスは前方を向くように付いていますので、そのまま排尿すると胸にまでおしっこが掛かってしまいます(左図参照)。そこで下半身をやや捻転するように排尿すると自分の胴体を汚さずにおしっこが出ますので、 これも掛け尿という習性の理由の一つと言えるでしょう。またこの習性には、他の雄犬に対して自分のテリトリーを主張するという意味もあります。雄犬の鼻になるべく近いところに自分の匂いを残した方が、縄張りを強力に主張することができます。このように掛け尿という習性の理由は色々ありますが、去勢(雄犬の不妊手術)をして男性ホルモンが体内に残っていないはずの雄犬でもこの行為を行うので、掛け尿という習性は 遺伝子の中に組み込まれた行動プログラムと考えるのが妥当のようです。

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穴を掘るのが好き

 穴掘りが好きな犬がいますが、これは犬の祖先といわれている狼の習性が残っていることが考えられます。まず第一に狼は穴を掘ってそこを巣として暮らす習性がありますが、雨や外敵から自分や自分の家族を守るための穴ですから、 穴掘りが生死に直結した非常に重要な行為なのです。この習性が犬の中にも残っているのだとすると、穴掘りがやたら好きな犬がいることもうなづけます。
第二に狼は群れを作って狩りを行う習性がありますが、仕留めた獲物を食べきれずに残してしまった場合はその余った肉を地面に埋めるという習性があります。これは腐敗を遅らせるためと鳥などから横取りされることを避けるためという意味がありますが、こうした習性が犬の中にも残っているのかもしれません。
第三に狼が小型の動物を獲物として追うと、その小動物が自分の巣穴に逃げ込む状況が多くなります。 逃げ込んだ小動物を捕獲するため、狼はその小さな巣穴を掘り返す必要がありますが、この時の習性が現代の犬の”穴掘り衝動”の一因といえるでしょう。
犬の中には意味もなく穴を掘る犬がいたり(テリア系の犬など)、もらった餌を庭の隅に埋める犬(後で掘り返して食べるわけでもないのに)がいるのは、 こうした祖先の習性を受け継いでいると考えられます。

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出産したメス犬が胎盤を食べる

犬の遠い祖先は狼といわれていますが、この狼の習性が今なお残っていると考えられます。
一言で言うと、生まれてくる子供を外敵から守るために胎盤を食べてしまうのです。 狼の母親は交尾が終わると巣穴作る習性があります。この巣穴は外敵に見つかりづらくするように山の中腹に作られます。 また近くに水の飲める湧き水や湖、池などがある場所を選びます。更に上から土や土砂が落ちてきて巣穴の出入り口がふさがれないように、 大きな木の根元や岩盤の張り出した下に作ります。巣穴に続く地下道は4メートル以上掘られ、外敵から生まれてくる子供を守ります。 こうしたことは全て子供を外敵や環境から守るための準備といえます。 現在の犬でも出産を控えた母犬が床や地面をガリガリと掘り返すようなしぐさ(営巣行動)をしますが、狼の習性の名残と考えられます。 もし子供が生まれて血の付いた胎盤をそのまま放置しておくと、 鼻のよく効く外敵(現在は絶滅したサーベルタイガー/左図参照を始め、ヒグマ、ヒョウ、ヤマネコなど)に気づかれて襲われてしまうかもしれません。 また母犬が子犬の排泄物を食べるという習性がありますが、これも同じ理由です。 巣の中を衛生的に保つという意味もありますが、排泄物の匂いを外敵に嗅ぎ分けられると、 襲われてしまう危険性が高まってしまうのです。 

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えさをよく噛まずに丸飲みする

犬の祖先はライオンなど外敵のいない動物とは違って、自分で見つけた餌を誰かに横取りされる危険性がありました。また兄弟が多いと兄弟間での餌の取り合いもあったでしょう。 つまり悠長によく味わいながら餌を食べていると、自分の取り分がなくなって飢えてしまうのです。 とりあえず丸飲みしてから取られる心配のない場所に移動し、食べたものを吐き出して味わいなおすという芸当もできますので、 犬にとっては丸飲みが普通の食べ方なのでしょう。 家の中で飼われている現代の愛玩犬などには、誰かに餌をとられる心配などないのでしょうが、 餌を目の前にすると祖先の習性が目覚め、どうしてもがつがつと丸呑みするように餌を食べてしまうようです。 ちなみに犬の胃液は強力ですので、多少咀嚼が不十分でも餌を胃の中で消化することができます。

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体に悪臭をなすり付ける

犬の中には排泄物を始めとする汚物(腐ったネズミの死骸、生ゴミなど)を体に擦り付けるものがいます。この行動には二つ説があります。
まず一つは、獲物となる動物に近づくとき有利だという説です。 獲物の排泄物の匂いを身にまとうことにより「自分は仲間だよ」と獲物に錯覚させることができれば、獲物に近づきやすくなり、 狩りの成功率も上がります。
もう一つは捕らえた獲物の位置を仲間に教えるためという説です。 つかまえた獲物の居場所で排泄物などの強い匂いを身にまとって そのまま仲間の元に帰ると、匂いの痕跡が道順にはっきりと残りますので、嗅覚の鋭い犬にとって獲物の位置をたどりやすくなります。
いずれにしても、「悪臭を身にまとう」という人間には理解しがたい行動は、かつて犬が行っていた集団による狩りの習性が残っているものと考えられます。

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縄張り意識が強い

狼は自分の属している集団ごとになわばりを持っています。この縄張りに入ってくる者がいると自分たちの獲物や雌を横取りするものとして群れから激しい攻撃にあいます。まずは吠え立てられ、鼻の上にしわを寄せて背中の毛を逆立て、うなり声を上げて威嚇します。それでも相手が退散しなかったら実際に攻撃行動に移ります。 このようにして狼は自分の集団の縄張りを維持し、獲物(自己保存)と雌や子供(種族保存)を他の外敵から守ります。この習性は現代の犬の中にも残っていると考えられます。たとえば庭先につながれた犬が郵便配達人に吠え立てたり、番犬が泥棒にかみつくといった話をよく聞くのはのはこうした 狼の習性の名残と考えられます。

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階級意識が強い

狼の群れには明確な序列意識があり、この意識は現代の犬の中にも見受けられます。狼の群れのリーダーをアルファ(序列第一位)といいますが、このアルファが全てにおいて優先権を持ちます。新しい土地に入る順番、餌を食べる順番、雌と交尾するといった順番は当然アルファが一番最初です。しかし逆に、獲物に襲い掛かったり外敵に立ち向かうといった危険な仕事もアルファが一番最初に行わねばならない仕事です。つまり「危険なことを一番最初に行う者は、 好もしいことも一番最初に行う権利を有する」というのが狼界の暗黙のルールとなっているのです。狼たちのアルファをめぐる権力争いは熾烈かつ露骨です。何の前触れなく突然序列下位の狼がアルファに襲い掛かり、時には重傷を負うような喧嘩を始めます(写真右上)。この喧嘩に勝てば晴れて序列第一位に付くことができますが、もし負ければ序列が下がるのではなく、一気に序列なしの地位、つまり一匹狼として群れから追放されるのです(写真左)。こうした 競争を勝ち残ったものは群れから強者として認められ、雌と交尾して強い子供を生むことや餌を真っ先に食べて体力をつけることが許されるのです。
現代の犬にとって群れとは飼い主や飼い主の家族、あるいはその家で飼われている他のペットのことです。犬は本能的に群れの中における自分の地位を判定しますが、基本的に自分より強いものを上位、弱いものを下位、自分より先に行動を行うものを上位、自分より後に行動を行うものを下位としてみなす傾向があります。飼い主が明確な飼育方針を持たず、適当にえさをやったり適当に散歩をしていると、犬は飼い主を自分より下位にみなすこともあります。たとえば犬に餌をやった後で自分が食事をしたり、犬に先を歩かせて散歩していると、いつの間にか序列の逆転が起こってしまいます(写真右下)。 

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遠吠えをする

犬の遠吠えはよく聞きますが、 その明確な理由は実は分かっていません。逆の言い方をすれば、たった一つの理由から遠吠えを行うわけではないということです。さびしさから仲間を呼んだり自分の居場所を仲間に伝えること、ストレス解消、気まぐれ、生理的な癖(人間が「貧乏ゆすり」するようなもの)、気分が良いときの感情表現(人間が口笛を吹くようなもの)などいろいろな説明があります。 人間が犬にあわせて遠吠えしてあげると、犬との仲間意識が強まるとも言われています。いずれにしてもこの遠吠えと言う習性の明確な理由は分かっていません。

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