狼の群れには明確な序列意識があり、この意識は現代の犬の中にも見受けられます。狼の群れのリーダーをアルファ(序列第一位)といいますが、 このアルファが全てにおいて優先権を持ちます。新しい土地に入る順番、餌を食べる順番、雌と交尾するといった順番は当然アルファが一番最初です。しかし逆に、獲物に襲い掛かったり外敵に立ち向かうといった危険な仕事もアルファが一番最初に行わねばならない仕事です。つまり「危険なことを一番最初に行う者は、
好もしいことも一番最初に行う権利を有する」というのが狼界の暗黙のルールとなっているのです。 狼たちのアルファをめぐる権力争いは熾烈かつ露骨です。何の前触れなく突然序列下位の狼がアルファに襲い掛かり、時には重傷を負うような喧嘩を始めます(写真右上)。この喧嘩に勝てば晴れて序列第一位に付くことができますが、もし負ければ序列が下がるのではなく、一気に序列なしの地位、つまり一匹狼として群れから追放されるのです(写真左)。こうした
競争を勝ち残ったものは群れから強者として認められ、雌と交尾して強い子供を生むことや餌を真っ先に食べて体力をつけることが許されるのです。
現代の犬にとって群れとは飼い主や飼い主の家族、あるいはその家で飼われている他のペットのことです。 犬は本能的に群れの中における自分の地位を判定しますが、基本的に自分より強いものを上位、弱いものを下位、自分より先に行動を行うものを上位、自分より後に行動を行うものを下位としてみなす傾向があります。飼い主が明確な飼育方針を持たず、適当にえさをやったり適当に散歩をしていると、犬は飼い主を自分より下位にみなすこともあります。たとえば犬に餌をやった後で自分が食事をしたり、犬に先を歩かせて散歩していると、いつの間にか序列の逆転が起こってしまいます(写真右下)。
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