トップ犬の心を知る犬の習性穴を掘るのが好き

犬が穴を掘るのが好きな理由は?~なぜ前足や鼻先で庭を穴だらけにするのか

 犬の穴を掘るのが好きという習性について動画や写真を交えて解説します。前足でせっせと庭に穴をあけるのは何のためでしょう?鼻先で土をかぶせることにはどんな意味があるのでしょうか?

解説「穴を掘るのが好き」

 犬の穴を掘るという習性には、幾つかの意味が含まれています。
犬がガリガリと一心不乱に穴を掘りたがるには、それなりの理由があります。  まず第一の意味はシェルターです。犬の祖先である狼には、雨や外敵から自分や自分の家族を守るため、穴を掘ってそこを巣として暮らす習性があります。つまり狼にとって「穴=シェルター」なのです。犬は狼を祖先としていますので、彼らの中にも同じような感覚があり、穴を掘ることに対して何らかの安心感を抱いている可能性があります。人間で言うと、子供にとっての「秘密基地」のように、自分をすっぽりと取り囲んでくれるこじんまりとした空間に、なぜか安心感を抱いてしまうという感覚に近いのかもしれません。
 犬の穴掘りが持つ第二の意味は貯蔵庫です。仕留めた獲物を食べきれずに残してしまった場合、腐敗(ふはい)や鳥などによる横取りが心配になります。そんなとき穴を掘って余り物を入れておけば、多少不安が軽減されるでしょう。人間で言うと冷蔵庫のようなものです。
 穴掘りの第三の意味は獲物の隠れ家です。小型の動物を獲物として追うと、その小動物が自分の巣穴に逃げ込む状況が多くなります。獲物にありつくには、その小さな穴を掘り返さなくてはいけません。こうした生活を続けてた犬の祖先たちは、いつの間にか「穴を掘る=わくわくする」という思考パターンを定着させた可能性があります。犬が裏庭にあった小さな穴を見つけて、そこをせっせと掘り返しているような場合は、「穴=おいしい獲物の隠れ場所」という思いがあるのかもしれません。
 そして犬の穴掘りが持つ第四の意味は自己PRです。犬でも狼でも、穴を掘るというよりは、ただ単に地面を引っかくような行為を見せることがあります。この行為は、「尿や糞がある場所では見られないこと」、「他の犬に見られている状況で頻繁になること」、そして「犬の足指の間からは科学的なにおい物質が分泌されていること」などから考え、視覚的、嗅覚的なサインを残すための自己PR行動だろうと推察されています(Beckoffなど)。犬の祖先
穴を掘るのが好き・まとめ
  • 風雨や外敵から身を守るシェルターになるため
  • 余った食料を隠しておく貯蔵庫になるため
  • 小動物が中に隠れているような気がして
  • 視覚的・嗅覚的なマーキング

動画「穴を掘るのが好き」

 以下でご紹介するのは、犬が一心不乱(いっしんふらん)に穴を掘っている姿をとらえた動画です。自分の鼻先を用いて器用に掘った穴を埋めていますね。
元動画は→こちら