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ドッグフードの選び方

 ドッグフードの選び方についてをまとめました。パッケージの読み方と怪しい商品の見分け方について解説します。あまりにも安価な値段に釣られ、いかがわしい商品を買わないようにしましょう。

ペットフードの表示義務項目

 2009年6月1日より「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称ペットフード安全法)が施行(せこう)され、製造業者名や賞味期限などの表示が義務付けられました。以下5項目は、ペットフード安全法で義務化された表示項目です。 環境省自然環境局による詳細解説

ペットフードの名称

 ペットフード協会によると、「ペットフード」の定義は以下のようになります。
ペットフードとは?
 穀類、デンプン類、糟糠類、糖類、油脂類、種実類、豆類、魚介類、肉類、卵類、野菜類、乳類、果実類、きのこ類、藻類、 ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、その他の添加物などを原材料とし、混合機、蒸煮機、成型機、乾燥機、加熱殺菌機、 冷凍機などを使用して製造したもの、または天日干しなど簡易な方法により製造したもので、 イヌの飲食に供するもの(以下「ドッグフード」という。)またはネコの飲食に供するもの(以下「キャットフード」という。)をいう。

原材料

 ドッグフードに用いられている原材料の詳細に関してはドッグフードの成分で詳述しました。原則的に、添加物を含む全ての原材料の表示が義務化されています。
 この義務化の背景には、2007年3月、米国において有害物質メラミンが混入したペットフードが原因となり、多数の犬及び猫が命を落とした事件があります。さらに同年6月、メラミンが混入したペットフードが、我が国でも輸入されていたことが発覚し、原材料表示義務化に拍車がかかりました。
メラミンとは?
 有機化合物の一種で、ホルムアルデヒドとともに、メラミン樹脂の主原料とされる物質です。中国メーカーが食品のタンパク質含有量(窒素含有量)を捏造するために利用されたことで一躍有名になりました。
 事例としては、2007年、メラミンが混入された中国企業製ペットフードがアメリカ等に輸出され、犬や猫が主に腎不全で死亡した事件や、翌2008年、中国国内でメラミン混入粉ミルクが原因で乳幼児に腎不全が多発した事件などが挙げられます。

賞味期限

 賞味期限(しょうみきげん)は基本的にはアラビア文字で記載されています(061225 など)。また賞味期限がメーカーにより設定される場合は、3年を超えないことが義務付けられています。

事業者名・住所

 「製造者」・「販売者」・「輸入者」など事業の種類を明記した上、事業所の住所が記載されます。

原産国

 ペットフードの最終加工工程が行われた国を表します。原材料がアメリカ産でも日本で加工されれば原産国=日本と表記されます。

公正競争規約

 以下で紹介するのは「ペットフード公正取引協議会」が公正な競争の確保と消費者保護のため、表示に関する事項について自主的に設定したルールで、「公正競争規約」(こうせいきょうそうきやく)と呼ばれるものです。 公正競争規約

フードの目的

 「フードの目的」は、何を目的にして製造されたのかを明示する項目です。具体的には以下の3種に分類されます。
フードの目的・主要3種
  • 総合栄養食総合栄養食(そうごうえいようしょく)とは、犬や猫が必要とする栄養基準を満たした、「毎日の主要な食事」として与えるためのフードです。新鮮な水と一緒に与えるだけで、それぞれの成長段階における健康を維持することができるように、 理想的な栄養素がバランスよく調製されています。
  • スナックスナックとはいわゆるおやつ(間食)のことで、それだけでペットのエネルギーや栄養素を完全に補うことは好ましくありません。
  • その他の目的その他の目的とは、特定の栄養を調整する、カロリーを補給する、あるいは嗜好増進などを目的としたペットフードです。「総合栄養食」ではないために、これを補うために与えなければならない食事の内容や量などを明記しなくてはなりません。一般食、栄養補完食、カロリー補完食、副食、特別療法食のいずれかの表記となります。

給与方法

 犬の体重などを参考に、一食で与える量などを表示しています。一般的にペットの給餌は、朝晩2回が望ましいとされます。これは、空腹の時間が長いと、胃液や胆汁を嘔吐したり、体が飢餓状態にあると勘違いして必要以上に脂肪を貯めこみ肥満の原因となりうるからです。こうした点を考慮しつつ記載されているのが「給与方法」です。

成分

 成分は保証分析値(ほしょうせいぶんち)とも呼ばれ、粗タンパク質・粗脂肪・粗灰分・粗線維・水分の含有量が%で表記されています。ここでいう「粗」とは「大体の」という意味で捉えて下さい。
粗とは?
 「粗」とは「だいたいの」といった意味合いで用いられます。
 たとえば、食品中のタンパク質を定量するには、食品中の窒素量を求め、これに窒素係数(=窒素1gに相当するタンパク質量)を掛けて算出します。食品中に少量存在するタンパク質以外の窒素化合物の窒素も同時に定量するので、真のタンパク質よりもやや多く算出され、大体の量しか計測できません。
 こうした計算上の難しさから大まかな数値、すなわち「粗」という表現が用いられるわけです。

内容量

 「内容量」とは文字通り、フードの内容量です。製品の正味量が、「g」(グラム)、「kg」(キログラム)、「ml」(ミリリットル)または「l」(リットル)で表示されています。丸い形やスティック状の間食(おやつ)の場合は個、本などで記載されている場合もあります。

水分含有量による分類

 ドッグフードは含んでいる水分の量により、幾つかの種類に分類されます。毎日同じフードを食べていると、味に鈍感な犬といえども、たまに飽きが来てしまうこともあるでしょう。そうしたときはちょっと食感や匂いの違ったフードを与えると、いい気分転換になりまた食欲が回復することがあります。
 以下は水分含有量によるドッグフードの種類です。 ペットフード協会

ドライタイプ

 「ドライタイプ」とは水分含有量10%以下のドッグフードのことです。
 水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があります。安全性を考慮して多くは水分含有量10%以下の表示をしているメーカーが多いようです。開封したら酸化が始まるため、開封後は直射日光を避けて密閉保存が必要となります。

セミモイストタイプ

 「セミモイストタイプ」とはいわゆる「半生」のことで、水分有料25~30%の発泡していないドッグフードを指します。
 品質保持の為に砂糖や防カビ剤等の添加物を使用し、また水分保持のために湿潤調整剤を添加します。なお水分含量は同じでも、加熱発泡処理されているものは「ソフトドライ」として区別されます。

ウェットタイプ

 「ウェットタイプ」とは水分含有量75%以上のドッグフードです。
 においが強く肉の食感が残っているため、犬の満足度も高くなります。ただし価格がやや割高な点と、食べかすが残りやすいため歯石や口臭の原因になるのが難点です。残した場合はラップをして冷凍保存する必要があります。 犬の歯周病

こんな記載があると怪しい

 以下では、ドッグフードのパッケージに記載されているとおかしい表記の事例をご紹介します。微妙な表現の違いにより、消費者をミスリード(誤った方向へ導くこと)するかのような例もありますので、念のためパターンを把握しておきましょう。

「~病を予防する」・「~病に効果あり!」

 「医薬品医療機器等法」(旧薬事法)の規制により上記のような表現は禁止されています。ペットフードは医薬品や医薬部外品ではありません。もしこのような表記を見かけたらその時点で法に抵触しているということです。 ペットフード等における医薬品的な表示について

分割表記

 「分割表記」(ぶんかつひょうき)とは、同一成分であるにもかかわらず、表現を変えて複数記載していることです。
 ペットフード工業会に所属しているメーカーなら、ドッグフードの成分は多く含まれている順に80%まで表記することとなっています。成分表示にとうもろこし、コーングルテンなど同一成分を名称を変えて分割表記している場合は、フード中最も多く含まれている成分をごまかしている可能性を否定できません。
 この場合、「とうもろこし」と成分を統一してしまうと成分比が最も多くなり、一番上に表記する必要が生じます。「肉」が一番上に来ていたほうが消費が伸びますので、メーカーとしては「とうもろこし」が一番上に来るという表記順を避けたいのかもしれません。

「自然」・「ナチュラル」

 その他「フレッシュ」、「新鮮」、「生」などのバリエーションがありますが、加工されているペットフードに対して「自然」や「ナチュラル」等の表現を用いるのは、多くの場合消費者の誤解を招きますので望ましくありません。

「特選」・「特級」

 客観的な根拠に基づかない「特選」、「特級」等の表記は、実際の商品や他の競合商品よりも著しく優れているという誤解を消費者に招きかねません。同じ理由で、「受賞」、または「推奨を受けた」と誤解されるような表記もしてはならないとされます。

総合栄養食の表記

 国産総合栄養食の場合、「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています」または「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています」 という表記があるはずです。もし表記がない場合はペットフード工業会に所属していないか、所属してもルールを守っていないメーカーとなります。
 ちなみにペットフード公正取引協議会では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準となっているAAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しています。

AAFCO合格(承認、認定)

 AAFCO(全米飼料検査官協会)はドッグフードの検査機関ではありません。ドッグフードの栄養学的な基準値や検査方法を設けている機関です。にもかかわらず「AAFCO合格」、「AAFCO承認」、「AAFCO認定」という表現をしている場合は、消費者の誤解を招く可能性があります。

賞味期限がやたら長い

 あまりにも賞味期限が長いものは、それだけ多くの保存料や酸化防止剤を添加しているということです。詳細はドッグフードの成分中の添加物一覧リストをご参照下さい。体にとって必要な保存料というのはありませんので、入っていないことに越したことはないでしょう。

価格が異常に安い

 他のものに比べて妙に安かったり、量の割には異常に安かったりした場合は原材料費が安いと考えられます。安く仕入れることができて、フードのボリュームを高めやすい原材料は何でしょうか?ドッグフードの成分を参照しながら考えてみてください。

水分含量のマジック

 ドッグフードのラベルには通常粗タンパク質、粗灰分、粗脂質、粗線維の含有量が記載されています。しかしペットフード工業会に所属していないメーカーで、上記した値ではなくただ単に「タンパク質含有量」という名目で%表記している場合は一考を要します。つまりフード中には水分も含まれますので、この水分を除外した残り部分に対する割合と考えなければならないのです。
水分含量のマジック
 以下は水分含量の違いによって、タンパク質含量に奇妙な差が出るという事例です。表記として虚偽を記載しているわけではありませんが、消費者としては第一印象にまどわされないよう気をつけましょう。
  • 「内容量100g/水分含量10%/タンパク質含有量10%」の場合正味のタンパク質含有量=100g×0.9(乾燥重量)×0.1=9.0g
  • 「内容量100g/水分含量75%/タンパク質含有量20%」の場合正味のタンパク質含有量=100g×0.25(乾燥重量)×0.2=5.0g
 すなわち、タンパク質含有割合は後者の方が大きい(20%>10%)にもかかわらず、正味のタンパク質含有量は前者のほうが大きい(9g>5g)という第一印象とは逆の結果が出ます。
個々の食材や添加物の使用基準、安全性、危険性、適正量に関しては「ドッグフード成分・大辞典」で、日本国内で販売されているドッグフードに関しては「ドッグフード製品・大辞典」で詳しく解説してあります。