【 2010年9月16日 読売新聞より 】
21匹もの犬を無計画に飼っていた鶴ヶ島市の男女が、生活苦で世話ができなくなったとして、動物愛護のNPO法人などが今月、保護に乗り出した。猛暑や栄養不足で衰弱しており、子犬など11匹が入院中だ。県内では、犬や猫の集団飼育による周辺住民とのトラブルが続発し、ここ数年は飼育放棄に至るケースも相次いでいる。
この男女は料金未払いで電気を止められており、2階建ての借家は、うだるような暑さだったという。首輪をつけた犬はほとんどおらず、大半が放し飼い。ダニやノミにたかられた成犬が、毛が抜け落ちるほど皮膚をかきむしり、8匹いた生後間もない子犬はぐったりしていた。保護された犬たちは首輪と名札を付けて、順番に動物病院に運ばれた。
飼育していたのは、警備員の男性(52)と無職の女性(61)。「日本動物生命尊重の会」(東京都)のメンバーと坂戸保健所の担当者が9日、自宅を訪問。3日間かけ、21匹を入間市の動物病院で受診させたところ、衰弱や皮膚の傷みが激しい犬が11匹おり、それぞれ都内と入間市内の動物病院に入院させた。1匹は会のメンバーが自宅で保護し、残る9匹については、保護できる場所を確保するまで、女性宅に残している。
会などによると、2人は5年前、ペットが飼育できる現在の家に転居し、女性が雄の雑種1匹を知人から譲り受けて飼い始めた。その後も、雌の雑種や雄のチワワをもらい、雄のパピヨン2匹を購入。8匹の子犬が生まれた後、今年5月以降にも計8匹の子犬が生まれ、21匹に増えたという。
しかし、女性は飼い始めて間もなく、保険外交員の仕事を辞め、工事現場で警備員をしているという男性も徐々に仕事が減り、最近の収入は月5万円ほど。今年5月に電気とガスが止められ、日々の食事にも事欠くようになったという。
周辺住民から7月、保健所に苦情が寄せられ、保健所は、男女に不妊・去勢手術を促すなどしたが、金銭的な余裕もなく、飼育環境を立て直すのは難しいと判断、9月に入って会に相談した。取材に対し、女性は「かわいそうなことをした」と語るが、「自分たちの食費を削ってでも、犬たちには食べさせてきたつもりだった」とも話した。
県生活衛生課によると、県内で10匹以上の犬や猫を飼いながら、飼育環境の悪化などから苦情が寄せられている未解決事案は6月末現在、ペットショップも含め12件ある。2008年には入間市で約30匹の犬と猫が、09年にも久喜市(旧栗橋町)で約60匹の犬が飼育放棄された。久喜市のケースのうち約10匹は、いまだに新たな飼い主が見つかっていないという。
金木洋子代表は「まずは不妊・去勢手術を徹底するよう、飼い主が意識を高めることが大切だが、行政も啓発に力を入れ、場合によっては手術費の助成も検討してほしい。住民の方も、手遅れになる前に保健所などに事態を知らせてほしい」と訴えている。