牧場において、家畜が散らばらないように監視したり、
外敵から家畜を守るのが牧畜犬(牧羊犬)です。家畜としては羊、牛、山羊などが挙げられます。
機械化の進んでいなかった時代においては、家畜が寝泊りする牧舎と、
草のある放牧地までの家畜の移動は、主として牧畜犬(牧羊犬)によって行われていました。
また、家畜が放牧中に害獣(熊や狼)に襲われたりすることが頻繁にあったため、
こうした外敵から家畜を守るのも牧畜犬(牧羊犬)の重要な仕事でした。
ですから牧畜犬(牧羊犬)の仕事は、自分のテリトリーや仲間を守るという犬の習性を生かした仕事といえます。
犬を機能別で分類した際、「ハーディング・グループ(Herding Group/herdとは”家畜の番をする”の意)」 というカテゴリがありますが、これは牧畜犬(牧羊犬)を指します。
現在でも牧場において牧羊犬として活躍している犬種がいます。具体的にはボーダー・コリー(@)、
シェルティ(シェットランド・シープドッグ=A)、オーストラリアン・キャトル・ドッグ(B)、オーストラリアン・ケルピーなどです。
ジャーマン・シェパード(C)もハーディンググループに分類されることがありますが、
そもそも「シェパード」とは”羊飼い/牧羊犬”の意味で、直訳すれば”ドイツ生まれの牧羊犬”となります。

★詳細は犬の種類を参照のこと |
猟犬
とは狩猟者(ハンター)のと共に行動し、狩猟のサポートをする犬のことです。具体的には「獲物の場所を猟師に教える」、「獲物を狩り出す」、「獲物を仕留める」、「獲物を回収する」などの仕事を行います。
犬の狩猟本能や持来欲(くわえて持ってくる本能)を利用した仕事ともいえます。
犬を機能別で分類した際、「スポーティング・グループ(Sporting Group/sportingとは”狩猟好き”の意)」というカテゴリがありますが、これは猟犬のことを指します。猟師に獲物の居場所を教える、通称「ストップ犬」の代表はセッターやスパニエルです。また仕留めた獲物を回収して猟師の元までもってくる、通称「リトリーブ犬」の代表はリトリバー種(ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドなど)です。
★詳細は犬の種類を参照のこと
日本で銃を用いるハンターになるには、都道府県知事が行う狩猟免許試験に合格し、「第一種銃猟免許」を取得することが必要です。また実際に狩猟を行うには、法律(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)に基づいて設定された「猟区」、及び「狩猟期間」を遵守しなくてはなりません。
猟犬はハンターと共に行動しますが、狩猟期間
(北海道では9月15日から翌年の2月末日まで/北海道以外の地域では10月15日から翌年の3月15日まで)が終わると、
猟犬は用済みとしてそのまま山林に放置されたり、散弾銃で撃たれることも、
わずかながらあるようです。極端な例では、身動きが取れないように木にくくりつけて放置されたり、
もはや用済みとして猟師に散弾銃で撃たれ、瀕死の状態で猟犬が保護されたという事例があります。
毎年、狩猟期間が終わると猟区の近くで捨て犬や迷い犬が増加するのは、こうしたモラルの無い一部の猟師の存在が背景にあるのです。 |
競争犬とは、
いわゆる「ドッグレース」において賭けの対象となって走る犬のことです。
競馬で言う所の「競走馬」に相当します。
犬を走らせる際は、通称「おとり(Lure)」と呼ばれる疑似獲物をコースに合わせて高速で動かします。
そしてこの「おとり」を捕まえようとして犬は走りますが、
動くものを追いかけて捕らえようとする犬の習性を利用した仕事といえるでしょう。
日本においては公営ギャンブルとして「競馬」、「競輪」、「競艇」、「オートレース」は認められていますが、
「競犬」は認められていません。従って民間のドッグパークなどで余興として犬のカケッコが見られるくらいです。
しかし海外においてはお金を賭けたギャンブルとして運営されている国もあります
(イギリス、グアム、マカオ、アイルランド、オーストラリアなど)。
競争犬として使用されるのはグレイハウンド(@)やウィペット(A)などのように足が速く、見るものに興奮を感じさせる犬種が選ばれます。
★詳細は犬の種類を参照のこと
お金儲けが絡んでくると、競争犬はお金を稼ぐ為の単なる道具に成り下がる傾向があります。結果としてレースに勝てない弱い犬や引退した犬は、
用無しとして処分(つまり殺されること)の対象になることも少なくないようです。
動物愛護の観点からドッグレースを禁止している国もあります(アメリカでは一部の州を除いて禁止されています)。 |
闘犬とは、娯楽や賭け事の為に他の犬と戦う犬のことです。
テリトリーに入ってきた外敵を攻撃するという犬の習性を利用した使い方といえます。
娯楽の少なかった19世紀以前には、犬と犬のみならず、犬と牛を戦わせたり(Bull
Baiting)、犬と熊を戦わせる(Bear Baiting)などして余興を盛り上げていました。
しかし現在は、動物愛護の観点からほとんどの国で闘犬が禁止されています。
日本においては、かつて高知県と秋田県で闘犬が盛んでした。 明治時代に秋田県における闘犬(主として秋田犬が用いられた)が禁止され、現在は高知県でのみ闘犬が行われています。 高知県において用いられるのは、マスティフ(@)の血を引く土佐犬(A)です。 しかし闘犬は公営ギャンブルとしては認められていないため、人間の行う格闘技興行のように、 観客から徴収する入場料が主な収入源となります。基本的に殺し合うまで戦い続けることはありませんが、 お互いに牙を立てて噛み合いますので、当然流血戦となります。
★詳細は犬の種類を参照のこと
アメリカにおいて闘犬は禁止されていますが、人目を忍んでギャンブルとしての闘犬が行われているようです。
ルールは色々ありますが、「犬の所有者が対戦者に謝るまで」や「どちらか一方の犬が戦意を喪失するまで」や、
極端な場合は「どちらか一方の犬が死ぬまで」といった過激なルールで行う場合もあるようです。
2007年8月、NFL(プロフットボール)のマイケル・ビック選手が闘犬と動物虐待の罪で逮捕されましたが、
彼の場合は試合で負けた犬の首を絞めたり、銃で撃ったり、水につけるなどして殺していました。 |
害獣駆除犬とは、
人間の生活に危害を加える野生動物を駆逐する犬のことです。
自分のテリトリーを守ろうとする犬の習性を利用した仕事といえます。
日本では猿を対象とした「モンキードッグ」や熊を対象とした
「ベアドッグ」などが活躍しています(長野県、群馬県など)。
犬種の指定は特になく、基本的にどんな犬でもモンキードッグになることはできますが、
山林を走って移動するという任務上、小型犬には向いていないでしょう。
能力的には「猿や熊などの害獣を識別できること」、「人に危害を加えないこと」、
「人間から離れてしまっても、呼んだら戻ってくること」などの素養が求められます。 |
セラピードッグとは、病院や老人介護施設などを訪問し、
入院している人の心に安らぎを与える犬のことです。海外ではAAT(Animal Assisted Therapy=動物介在療法)として50年近い歴史がありますが、
日本での認知度はまだ低いのが現状です。
犬と触れ合うことで血圧が下がったり、リラックスしたときに出る脳波(アルファ波)が出たりします。
また、老人性痴呆に対する悪化予防効果や自閉症の治療効果なども、現在科学的に検証されています。
犬種の指定はなく、捨て犬でも飼い犬でも、
小型犬でも大型犬でもセラピードッグになることができますが、病院や施設内での振る舞いや病人との接し方など、
セラピードッグとして数10の試験をクリアする必要があります。 |