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犬の仕事

 犬はその能力を生かして様々な分野で活躍しています。以下ではにおいを嗅ぐ能力である「嗅覚」、頭のよさである「頭脳」、そして生まれ持った性質とも言える「習性」の3つの観点から、犬の関わる仕事を解説していきます。

嗅覚を生かした犬の仕事

 犬の匂いを嗅ぎ取る能力、すなわち「嗅覚」(きゅうかく)は、嗅ぎ分ける対象によっても変化しますが、生物に含まれる有機物(ゆうきぶつ=炭素を含む物質全般)に関して言うと、人間の約1億倍とも言われています。これは、匂いの元となっている匂い物質の濃度が、人間にとっての限界値の、たった1億分の1でも、嗅ぎ取ることが出来るという意味です。以下では、犬の嗅覚が関わる仕事を中心にご紹介していきます。

麻薬探知犬

空港の税関あたりで荷物をかいでいる犬がいた場合、それが麻薬探知犬です。  麻薬探知犬(まやくたんちけん)とは麻薬類のわずかな匂いを嗅ぎ分けて見つけ出すよう訓練された犬のことです。 麻薬探知犬の歴史は意外に新しく、昭和54年にアメリカから連れこられた2頭が成田空港に配置されたことに始まります。 以後全国の主要な空港、港及び郵便局等に拡大配備され、麻薬の摘発に大きな成果をあげています。
麻薬探知犬は、水際で麻薬の密輸を食い止めるために欠かせません。  麻薬探知犬は「アグレッシブドッグ」と「パッシブドッグ」の2種類に分かれます。アグレッシブドッグは、麻薬の匂いを感じると、貨物に攻撃を与えてハンドラー(犬を操る人のこと)に知らせるタイプの犬で、 旅客の貨物、商業貨物、郵便物に隠されている麻薬類を発見するように訓練されています。パッシブドッグは、麻薬の匂いを感じると、その場にしゃがみ込んでハンドラーに知らせるタイプの犬で、 旅客の手荷物や身辺に隠されている麻薬を発見するように訓練されています。
 麻薬探知犬の任期は約7年で、引退後は共に過ごしてきたハンドラーさんと暮らすことが多いようです。 税関~麻薬探知犬

警察犬

警察犬は英語で犬を意味するcanini(ケナイン)に引っ掛けて、K-9と呼ばれます。  警察犬(けいさつけん)の歴史は、19世紀末にドイツのヒルデスハイム市警において使用されたのが始まりとされています。日本では、1912年に警視庁がコリー犬を警察犬として採用したのが最初です。
 警察犬の代表的な仕事には以下のようなものがあります。まず足跡追及活動(そくせきついきゅうかつどう)では犯人の匂いや犯人の触ったものの匂いから犯人を追及・追跡します。臭気選別活動(しゅうきせんべつかつどう)は犯罪現場の遺留品(いりゅうひん)と容疑者(ようぎしゃ)の匂いとを照合して犯人を特定します。そして捜索活動(そうさくかつどう)では迷子、行方不明者、遭難者などを匂いから発見します。
厳しいトレーニングをクリアした犬だけが警察犬になれます。  現在活躍している警察犬には、直轄犬(ちょっかつけん)と嘱託犬(しょくたくけん)がいます。「直轄犬」というのは、警視庁と各県警管轄の下、訓練管理されている警察犬のことで、「嘱託犬」とは各県警で毎年実施している嘱託犬採用試験に合格した犬のことです。直轄犬と嘱託犬は1:10の割合で圧倒的に嘱託犬が多いですが、これは訓練所の設備や飼育管理費、担当者である警察官の人件費等の財政上の問題があるからです。
 なお、日本警察犬協会が警察犬に適していると指定しているのは以下の7犬種です。
警察犬になれる犬・7種
 また、民間の嘱託警察犬の中には指定犬種以外のものもわずかながらいます。
指定犬種以外の嘱託警察犬
犬の種類 日本警察犬協会

災害救助犬

災害救助犬は、自然災害に見舞われた現場で、行方不明者の捜索などを担当します。  災害救助犬(さいがいきゅうじょけん)とは、災害に遭遇して苦境にある人を助けるよう訓練された犬のことです。災害救助犬になるは、まず全国20ヶ所の「JKC(ジャパンケンネルクラブ)公認災害救助犬育成訓練所」 で訓練を受ける必要があります。その後、試験を受けて合格すれば、晴れてJKC公認の災害救助犬として認定されるという流れです。
災害救助犬の種類
  • 地震救助犬 地震救助犬(じしんきゅうじょけん)は地震などによる家屋崩壊現場で被災者を捜索します。
  • 山岳救助犬 山岳救助犬(さんがくきゅうじょけん)は山での遭難者や行方不明者を捜索します。
  • 水難救助犬 水難救助犬(すいなんきゅうじょけん)は海や湖で遭難者救助にあたります。
日本救助犬協会

その他、嗅覚を生かす対象を特化した仕事

 嗅ぎ分ける匂いの種類を1つにしぼり、専門性を高めた犬の活躍の場は、探してみると至るところにあるようです。以下ではそうした高い専門性を生かし、人間の生活を補助するいろいろな犬の仕事をご紹介します。
嗅覚を生かした犬の仕事
  • DVD探知犬 主として違法コピーで大量に複製された海賊版DVDを、空港などで探知します。嗅ぎ取るのは、DVDに含まれるポリカーボネイト樹脂の臭いです。
  • 放火探知犬 放火探知犬(ほうかたんちけん)は火事の現場などで主としてガソリンや灯油の臭いを嗅ぎ分けます。もしガソリン臭が探知された場合は、放火である可能性が大きいと判断されます。アメリカに数頭いますが、日本にはまだ導入されていません。
  • 遺体探知犬 遺体探知犬(いたいたんちけん)は、主に人間の遺体を発見するよう訓練された犬のことで、アメリカで活躍しています。天災による被災地や、殺人事件の現場などで遺体を発見する際に動員され、水から立ちのぼる匂いを追跡することも可能なことから、溺死者や水底に沈んだ遺体を見つけ出す際にも役立っています。
  • ガン(癌)探知犬 ガン探知犬は、ガン細胞を嗅ぎ取るといわれています。具体的にどのような物質が人体から揮発(きはつ)しているかは定かではありませんが、 海外において犬が皮膚ガンを見つけたという事例が多数報告されています。また、日本においては人間の呼気(こき=吐いた息)の臭いからガンに罹患(りかん)しているかどうかを探知する犬もいます。 犬のガン探知能力
  • シロアリ探知犬 シロアリ探知犬は、シロアリの放つ特定の臭いを嗅ぎ取ります。シロアリ自体が出すフェロモン、エサのありかを探す時に残す微量の科学物質の痕跡、シロアリの体内に寄生している微生物による消化作用から発生するわずかな臭いなどを嗅ぎ分けるようです。アメリカにはいますが、日本ではまだ導入されていません。
  • ハブ探知犬 ハブ探知犬は、毒をもつヘビの一種である「ハブ」の居場所を嗅覚で嗅ぎ当てます。かつて沖縄県にいましたが、現在は費用対効果の面から育成されていないようです。
  • トリュフ探知犬 トリュフ探知犬は、地中に埋まっている三代珍味の一つ「トリュフ(キノコの一種)」を嗅ぎ当てます。フランスなどではプードルが使われることが多いようです。ちなみに メスブタもトリュフを見つけるときに利用されますが、これはトリュフの中にオスブタの発するフェロモンと似た臭いが含まれているためです。
  • トコジラミ探知犬 トコジラミとはいわゆるナンキンムシのことで、刺されると激しいかゆみを引き起こすことで知られています。2010年、ニューヨークでトコジラミが大発生した際は、「トコジラミ探知犬」という特殊な能力をもつ犬が発見に貢献しました。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
  • 考古学犬 オーストラリアのドッグトレーニング協会に所属する「ミガルー」という名の雑種犬が、肉片のついていない人骨をかぎ当てることができる、世界初の「考古学犬」として活躍しています。広大な敷地の中から、約600年ほど前の人骨をかぎ分けることもできるようです。
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頭脳を生かした犬の仕事

 犬はとても頭のいい動物で、個体によっては、人間の3歳児以上の能力を持つものもいます。以下でご紹介するのは、頭脳を生かした犬の仕事の数々です。

盲導犬

白いハーネスが盲導犬の目印です。  盲導犬(もうどうけん)は、目の不自由な方々が自由に外出できるよう、道の中にある段差(だんさ)や角などの障害物を教えて、安全に歩くためのお手伝いをしてくれます。また盲導犬は、1978年(昭和53年)の道路交通法(どうろこうつうほう)の改正により、車の一時停止や徐行(じょこう=スピードを緩めること)が義務化され、道路を通行する際の特別な保護を受けています。

盲導犬の仕事

 盲導犬の仕事は、目の不自由な方の日常生活を支援することです。
 具体的には「道路の端を歩く」、「段差で立ち止まる」、 「障害物を回避する」、「目標物に誘導する」などです。また視覚障害者と生活を共にすることにより、愛情の対象として心の支えになるという役割もあります。
 盲導犬は通常、白か黄色のハーネス(胴輪)をしています。このハーネスを装着している最中は仕事中ですので、 「声を掛ける/口笛を吹く」、「なでる」、「餌(えさ)を与える」など、犬の集中力を邪魔するような行為は慎みましょう。
 また2002年10月に身体障害者補助犬法(しんたいしょうがいしゃほじょけんほう)が施行され、従来の公共機関のみならず、デパート、スーパー、ホテル、旅館などの 民間施設にも盲導犬の受け入れ義務が発生しました。しかし、経営者が法律を知っていても、末端の従業員がこの法律の存在自体を知らなかったり、或いは 施設を利用する他のユーザーが犬を不必要に怖がったりするといった問題があるため、盲導犬の完全受け入れには程遠いというのが現状です。 日本盲導犬協会

盲導犬の一生

 盲導犬の一生は、通常以下のようなものです。
盲導犬のライフステージ
  • 誕生~生後2ヶ月  盲導犬の素質を持った両親から子犬が繁殖され、盲導犬候補として育てられます。 この時期は主として母犬や兄弟犬と共に生活し、社会性を養います。
     盲導犬としてはジャーマン・シェパードゴールデン・レトリバーラブラドール・レトリバーなどが使用されますが、 見た目の愛らしさからラブラドールレトリバーが多用される傾向にあります。
  • 生後2ヶ月~1歳⇒パピーウォーカー  通称パピーウォーカーと呼ばれるボランティアの一般家庭に預けられます。この時期の目的は人間との社会性を養うことですので、ただひたすらに愛情を受けて育てられます。
     なお子犬が12週齢前にボランティア家庭に移った場合、90%の確率で盲導犬になれるのに対し、子犬が犬舎に12週齢以上おかれた場合、その確率が30%にまで落ちるといわれています(「犬と猫の行動学」・インターズー)。この時期に人間から受ける愛情がいかに重要かを示す一例と言えるでしょう。
  • 1歳~2歳⇒ 訓練  1歳になった頃から約1年間かけて、盲導犬として必要な資質をトレーニングします。 訓練を行うのは、全国に9ヶ所ある盲導犬育成協会です。
     服従訓練(ふくじゅうくんれん)では、人間と生活する上で必要となる基本的な動作(食事、トイレ、座れ、伏せ、待てなど)を訓練します。 指示語(しじご)を日本語を覚えさせた場合、女性言葉や方言による微妙な差異が出て犬の混乱の原因になるため、指示語は英語(Sit/Down/Waitなど)で統一されるのが一般的です。
     誘導訓練(ゆうどうくんれん)では、盲導犬の仕事の項で述べた「道路の端を歩く」、「段差で立ち止まる」、「障害物を回避する」、「目標物に誘導する」 など人を導くための訓練を行います。
     目隠しテストでは、訓練者が目隠しをして実際に盲導犬使い、仕事の予行演習します。
     共同訓練(きょうどうくんれん)では、実際に目の不自由な方が犬を使って犬の適性を見極めますが、この訓練(4~6週間)を通し、 視覚障害者の方も盲導犬の使い方や世話の仕方をはじめ、盲導犬に関する必要な知識を身につけます。 また盲導犬と視覚障害者とがお互いを理解し合う重要な期間でもあります。
  • 1歳半~10歳⇒ ひとり立ち  共同訓練を終了すると、視覚障害者は自宅に盲導犬を連れて行き、共同生活が始まります。盲導犬としてのひとり立ちです。
  • 10歳~⇒ 引退  盲導犬の引退に年齢制限はありませんが、10歳くらいになると目を始め老化する部分が多くなってきますので、 おおよそこの位の年齢で引退する盲導犬が多いようです。
     引退後は普通の愛玩犬(あいがんけん=ペット)として引き取られたり、リタイア犬ボランティア (引退した盲導犬を専門に受け入れるボランティア家庭)の元に引き取られます。

盲導犬のため私たちができること

 盲導犬を育成するために、私たちにもできることが幾つかあります。
デパートやスーパーなどでたびたび目にする犬の募金箱は、盲導犬を支援するためのものです。  まずは盲導犬募金です。盲導犬を1匹育成するには、約300万円の経費が必要だとも言われていますが、こうした盲導犬育成に必要な資金の約95%は募金から成り立っています。お店のレジ付近でよく見かける「ラブラドール募金箱」に小銭を入れるだけで、 私たちも盲導犬育成に間接的に協力することができます。
 繁殖犬ボランティアとして協力することもできます。「繁殖犬」とは、盲導犬の候補となる子犬を産む母犬のことです。繁殖犬が妊娠していない期間は、 通常のペットとほとんど変わらない生活をしますが、母犬が妊娠して子犬を出産する場合は、出産・子育てのお手伝いをすることもあります。
 引退犬ボランティアとして協力することもできます。これは、10歳前後の引退した盲導犬を引き取り、余生を共に過ごすというものです。この場合、医療費負担は盲導犬協会がしてくれます。

聴導犬

聴導犬はオレンジ色のベストが目印です。  聴導犬(ちょうどうけん)とは、聴覚障害者の生活が円滑に運ぶようにサポートする犬のことです。
 具体的な仕事内容は生活音を飼い主に知らせることです。屋内においてはドアチャイム、電話やFAXの音、 目覚まし時計、やかんの沸騰音、火災報知器、キッチンタイマーの音などを聞き分けます。屋外においては後ろから来る自転車のベルや自動車のクラクション音などを聞き分けます。
  外にいるときはオレンジ色のチョッキを着てオレンジ色のリードをつけていますので、一般人にも見分けることができます。見かけた場合は盲導犬の時と同様、声を掛けたりえさを与えたりして、 犬の集中力を阻害しないように注意しましょう。
 2002年10月、 身体障害者補助犬法が施行され、聴導犬も民間施設への受け入れが義務付けられました。 しかし盲導犬と同様、受け入れ態勢が万全とはいえないのが現状です。 日本聴導犬協会

介助犬

介助犬は「介助犬」と明記されたチョッキを着ています。  介助犬(かいじょけん)とは、手足が不自由な人の日常生活を助けるために特別に訓練された犬です。
 具体的な仕事内容は、落としたものを拾う、必要な物を手元まで持ってくる、ドアの開閉、スイッチのオンオフ、上着や靴下などの衣服を脱がせる、身障者(しんしょうしゃ)の体を支える、車椅子の移動補助、他の人を呼びに行く、などです。
 屋外においては「介助犬」と明示されたチョッキなどを着ていますので、一般人にも見分けが付きます。見かけた場合は盲導犬の時と同様、声を掛けたりえさを与えたりして、犬の集中力を阻害しないように注意しましょう。
 ちなみに兵庫県宝塚市のプログラマー木村さんと生活を共にしていた介助犬シンシアは有名です。彼女の献身的な仕事ぶりは人々の共感を呼び、介助犬を含めた補助犬の認知運動を盛り上げるのに一役買いました。結果として2002年10月、身体障害者補助犬法が施行されるに至りましたが、この法律の実現にはシンシアの存在が大きな影響を及ぼしています。 日本介助犬協会 シンシア
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習性を生かした犬の仕事

 犬の祖先はオオカミですが、「イヌ」という別の動物となった今でも、オオカミ時代の癖をたくさんもっています。以下では、犬の習性が関わる仕事を中心にご紹介していきます。

牧畜犬(牧羊犬)

牧羊犬には頭のよい犬種が選ばれます。  牧畜犬(牧羊犬)とは、牧場において家畜が散らばらないように監視したり、 外敵から家畜を守る犬です。家畜としては羊、牛、山羊などが挙げられます。
 機械化の進んでいなかった時代においては、家畜が寝泊りする牧舎と、草のある放牧地までの家畜の移動は、主として牧畜犬(牧羊犬)によって行われていました。 また、家畜が放牧中に害獣(がいじゅう=熊や狼)に襲われたりすることが頻繁にあったため、こうした外敵から家畜を守るのも牧畜犬(牧羊犬)の重要な仕事でした。ですから牧畜犬(牧羊犬)の仕事は、自分のテリトリーや仲間を守るという犬の習性を生かした仕事といえます。
 犬を機能別で分類した際、ハーディング・グループ(Herding Group/herdとは”家畜の番をする”の意)」 というカテゴリがありますが、これは牧畜犬(牧羊犬)を指します。
 現在でも牧場において牧羊犬として活躍している犬種がいます。具体的にはボーダー・コリー(写真左上)、 シェルティ(シェットランド・シープドッグ, 写真右上)、オーストラリアン・キャトル・ドッグ(写真左下)、オーストラリアン・ケルピーなどです。ジャーマン・シェパード(写真右下)もハーディンググループに分類されることがありますが、そもそも「シェパード」とは「羊飼い/牧羊犬」の意味で、直訳すれば「ドイツ生まれの牧羊犬」となります。 牧羊犬の代表犬種一覧 犬の種類
牧羊犬が羊を追い込む様子
 以下でご紹介するのは北海道えこりん村において開催されている牧羊犬ショーの動画です。牧羊犬が羊たちを目標となる策の中に上手に追い込む様子が確認できます。 元動画は⇒こちら

猟犬

ハンターの手助けをするのが猟犬です。  猟犬(りょうけん)とは狩猟者のと共に行動し、狩猟のサポートをする犬のことです。具体的には「獲物の場所を猟師に教える」、「獲物を狩り出す」、「獲物を仕留める」、「獲物を回収する」などの仕事を行います。犬の狩猟本能や持来欲(じらいよく=くわえて持ってくる本能)を利用した仕事ともいえます。
 犬を機能別で分類した際、スポーティング・グループ(Sporting Group/sportingとは”狩猟好き”の意)」というカテゴリがありますが、これは猟犬のことを指します。猟師に獲物の居場所を教える、通称「ストップ犬」の代表はセッターやスパニエルです。また仕留めた獲物を回収して猟師の元までもってくる、通称「リトリーブ犬」の代表はゴールデンリトリバーラブラドールリトリバーフラットコーテッドリトリバーなどのリトリバー種です。
犬の種類  日本で銃を用いるハンターになるには、都道府県知事が行う狩猟免許試験に合格し、「第一種銃猟免許」を取得することが必要です。また実際に狩猟を行うには、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づいて設定された「猟区」、及び「狩猟期間」を遵守(じゅんしゅ)しなくてはなりません。
一部の猟犬は・・  猟犬はハンターと共に行動しますが、狩猟期間 (北海道では9月15日から翌年の4月15日まで/北海道以外の地域では10月15日から翌年の4月15日まで)が終わると、猟犬は用済みとしてそのまま山林に放置されたりする事例もわずかながらあるようです。毎年、狩猟期間が終わると猟区の近くで捨て犬や迷い犬が増加する背景には、こうしたモラルの無い一部の猟師の存在があります。

競争犬

日本にはいませんが、海外ではレース用の犬が飼育されており、競争犬と呼ばれます。  競争犬(きょうそうけん)とは、いわゆる「ドッグレース」において賭けの対象となって走る犬のことです。競馬で言う所の「競走馬」に相当します。
 犬を走らせる際は、通称「おとり(Lure)」と呼ばれる疑似獲物(ぎじえもの)をコースに合わせて高速で動かします。そしてこの「おとり」を捕まえようとして犬は走りますが、 動くものを追いかけて捕らえようとする犬の習性を利用した仕事といえるでしょう。
 日本においては公営ギャンブルとして「競馬」、「競輪」、「競艇」、「オートレース」は認められていますが、「競犬」は認められていません。従って民間のドッグパークなどで余興(よきょう)として犬のカケッコが見られるくらいです。しかし海外においてはお金を賭けたギャンブルとして運営されている国もあります。具体的にはイギリス、グアム、マカオ、アイルランド、オーストラリアなどです。
  競争犬として使用されるのはグレイハウンド(写真左)やウィペット(写真右)などのように足が速く、見るものに興奮を感じさせる犬種が選ばれます。 レースドッグの代表犬種、ウィペットとグレイハウンド 犬の種類
一部の競走犬は・・  お金儲けが絡んでくると、競争犬はお金を稼ぐ為の単なる道具に成り下がる傾向があります。結果としてレースに勝てない弱い犬や引退した犬は、 用無しとして処分(つまり殺されること)の対象になることも少なくないようです。動物愛護の観点からドッグレースを禁止している国もあります(アメリカでは一部の州を除いて禁止されています)。
ドッグレースの模様
 以下でご紹介するのはドッグレースの動画です。まるで競馬のように実況中継を交えながら進行します。 元動画は⇒こちら

闘犬

オリの中で犬同士をけしかけ、争わせるのが闘犬で、長い歴史を持ちます。  闘犬(とうけん)とは、娯楽や賭け事の為に他の犬と戦う犬のことです。テリトリーに入ってきた外敵を攻撃するという犬の習性を利用した使い方といえます。
 娯楽の少なかった19世紀以前には、犬と犬のみならず、犬と牛を戦わせたり(Bull Baiting)、犬と熊を戦わせる(Bear Baiting)などして余興を盛り上げていました。 しかし現在は、動物愛護の観点からほとんどの国で闘犬が禁止されています。
 日本においては、かつて高知県と秋田県で闘犬が盛んでした。明治時代に秋田県における闘犬(主として秋田犬が用いられた)が禁止され、現在は高知県でのみ闘犬が行われています。 闘犬の代表犬種であるマスティフと土佐犬  高知県において用いられるのは、マスティフ(写真右)の血を引く土佐犬(とさいぬ, 写真左)です。しかし闘犬は公営ギャンブルとしては認められていないため、人間の行う格闘技興行のように、 観客から徴収する入場料が主な収入源となります。基本的に殺し合うまで戦い続けることはありませんが、お互いに牙を立てて噛み合いますので、当然流血戦となります。 土佐闘犬センター
一部の闘犬は・・  アメリカにおいて闘犬は禁止されていますが、人目を忍んでギャンブルとしての闘犬が行われているようです。ルールは色々ありますが、「犬の所有者が対戦者に謝るまで」や「どちらか一方の犬が戦意を喪失するまで」や、極端な場合は「どちらか一方の犬が死ぬまで」といった過激なルールで行う場合もあるようです。

害獣駆除犬

田畑の農作物を荒らす猿やイノシシ、クマなどの害獣を駆除するための犬が害獣駆除犬です。  害獣駆除犬(がいじゅうくじょけん)とは、人間の生活に危害を加える野生動物を駆逐する犬のことです。自分のテリトリーを守ろうとする犬の習性を利用した仕事といえます。
 日本では猿を対象とした「モンキードッグ」や熊を対象とした 「ベアドッグ」などが、長野県や群馬県で活躍しています。犬種の指定は特になく、基本的にどんな犬でもモンキードッグになることはできますが、山林を走って移動するという任務上、小型犬には向いていないでしょう。能力的には「猿や熊などの害獣を識別できること」、「人に危害を加えないこと」、 「人間から離れてしまっても、呼んだら戻ってくること」などの素養(そよう)が求められます。

セラピードッグ

犬と触れ合うことによる癒し効果は、単なる気のせいではなく、れっきとしたセラピー効果があります。  セラピードッグとは、病院や老人介護施設などを訪問し、入院している人の心に安らぎを与える犬のことです。海外ではAAT(Animal Assisted Therapy=動物介在療法=どうぶつかいざいりょうほう)として50年近い歴史がありますが、 日本での認知度はまだ低いのが現状です。
 犬と触れ合うことで血圧が下がったり、リラックスしたときに出る脳波(アルファ波)が出たりすると言われています。また、認知症に対する悪化予防効果や自閉症の治療効果なども、現在科学的に検証されています。
 犬種の指定はなく、捨て犬でも飼い犬でも、 小型犬でも大型犬でもセラピードッグになることができますが、病院や施設内での振る舞いや病人との接し方など、 セラピードッグとして数10の試験をクリアする必要があります。 犬のアニマルセラピー 国際セラピードッグ協会
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