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犬の遺体の安置方法~必要なものから注意点まで

 犬が虹の橋へと旅立ち、葬儀に移るまでの間、遺体を一定期間どこかに安置しておく必要があります。ここでは犬の遺体の安置の仕方について細かく解説します。なお、ペットが動物病院で他界した場合は、獣医さんにご相談ください。

犬の遺体を安置する際、用意するもの

 犬の遺体を安置する際に必要となるもの一覧リストです。以下のアイテムを用意しておきましょう。
遺体安置に必要なもの
  • 犬の体が入るくらいのダンボールやプラスチックボックス
  • 大き目のビニール袋
  • 新聞紙たくさん
  • 使い捨てバスタオル
  • ペットシート
  • ドライアイス・氷・保冷剤
 犬が愛用していたバスタオルやベッドを使ってしまうと、多くの場合体液が染み込んで廃棄を余儀なくされます。思い出の品をそのままの形で取っておきたい場合は使い捨てタオルのほうがよいでしょう。

棺を用意する

 犬の遺体を収める棺(ひつぎ)を用意しましょう。まずは犬の体が入るくらいのダンボールや木箱、プラスチックボックスの底に新聞紙やビニール袋などを厚めに敷き、その上にドライアイスや氷、保冷剤などを敷き詰めます。さらにその上に新聞紙やペットシート、使い捨てのバスタオルなどを敷きましょう。これは、筋肉の弛緩した犬の体から体液が染み出し、棺を濡らしてしまうことがあるためです。
 準備の整った箱を直射日光の当たらない涼しい場所に箱を安置しますが、どうしても安置する場所がない場合は、ペット霊園に相談して、一時的に預かってもらうという選択肢もあります。 犬の遺体を一時的に収容する安置ボックスは、可燃性のダンボールがベストです。

死後硬直に備える

 濡れタオルで体を拭き、毛並みを整えたら、まぶたを閉じて手足を胸の方に折り曲げてあげます。そしてタオルなどで体をくるみ、用意した箱の中に入れます。これは死後硬直(しごこうちょく)と呼ばれる筋肉の硬化に備えるためです。気温や室温に左右されますが、小型犬なら死後1~2時間、大型犬なら死後2~3時間くらいの間に起こるとお考え下さい。もし手足が伸びたまま硬直してしまうと、箱の中に納まりきらなくなりますので要注意です。
注意  生前、犬の体にノミやダニが寄生していた場合、体温の低下に伴ってそれらの寄生虫が外に飛び出してきます。寄生虫が疑われるときは、体温が下がりきった頃合を見計らって寄生虫の移ったタオルを捨て、新しいものに交換します。口、鼻、お尻などから体液が漏れ出た場合は、その都度ガーゼやティッシュなどできれいにしてあげましょう。

遺体の腐敗を防ぐ

 血流が止まった体には免疫力がないため、微生物の繁殖を抑えることが出来ません。結果として「腐敗」(ふはい)が発生します。ペットを弔(とむら)うまでの数時間~数十時間、この腐敗をなるべく遅らせるためには、室温を低めに設定し、氷やドライアイスなどを犬の腹部に当ててタオルで固定しましょう。温度が低い環境では微生物が繁殖できませんので、結果として腐敗を遅らせることが出来るのです。ただし48時間程度が限界とお考え下さい。

最後の別れ・お通夜

 ペットの遺体を火葬や土葬にかけるまでの間は、飼い主にとって最後のお別れをする時間となります。ペットと一緒に火葬・埋葬する思い出の品などを決めておきましょう。ただし金属製品やプラスチックは火葬できませんので、可燃物に限ります。
 あとはローソクを立てたり遺影を飾ったりお線香をたいたりして、愛犬との最後の時間をすごします。思い出の品としてひげや被毛の一部をカットしておくならこのときに済ませておきましょう。また近年は手元供養の一種として「ペットを剥製にする」というものがあります。これは火葬に付した後では絶対にできないオプションですので、興味がある方は専門業者を調べておいて下さい。
 枕飾りを整え、親しかったペット仲間などを「お通夜」という形で招き、飼い主と共に別れを告げるという形もあります。ペット仲間のお通夜に呼ばれたときは、派手な服装を避け、ペットの好きだったおやつやおもちゃなどを持参していきましょう。

犬の祭壇と枕飾り

 「祭壇」(さいだん)とは先立った人にお供え物をするための台のことです。お通夜やお葬式までの間、遺体の枕元に設置する小さな祭壇のことは特に「枕飾り」(まくらかざり)と呼ばれます。人間の場合、信仰している宗教によってお供えする物や祭壇の意味が微妙に変わります。
 必要項目ではありませんが、設けることによって愛犬の死を現実として受け入れやすくなったり、友人知人が訪問したとき冥福を祈りやすくなるでしょう。ペットの枕飾りや祭壇に関するルールや一般常識はありません。以下は一例です。
犬の祭壇・枕飾りの一例
犬の祭壇・枕飾り~オリジナルバージョン
  • お供え台低いテーブルや台の上に布や犬が愛用していた毛布などを敷きます。
  • 水と好物犬が生前好きだった食べ物やおやつを水とともに置いてあげます。
  • おもちゃ犬が生前好きだったおもちゃがあれば、置いてあげるのも良いでしょう。
  • 花の種類にルールはありませんが、一般的には白い花が用いられます。
  • ろうそく立てろうそく立てとろうそくを用意してあげます。
  • 遺影生前の写真の中から一番好きなものを選び、飾ってあげましょう。
 もし飼い主の信仰に沿った形で祭壇や枕飾りをセッティングしたい場合は、以下に示す祭壇様式がヒントになるでしょう。仏教、神道、キリスト教に分けて模式図で示しておきます。なお室内に犬や猫などの同居動物がいる場合、植物の誤食には十分ご注意下さい。しきみやユリなど有毒成分を含んでいるものがあります(→注意すべき有毒植物)。

犬の祭壇と枕飾り・仏教編

仏教様式の犬猫祭壇と枕飾り
  • 白い布をかけた台
  • 香炉とお線香
  • お鈴(りん)
  • ろうそく立てとろうそく
  • 一膳飯と箸
  • 枕団子
  • 花瓶と花(しきみ、菊、ユリ、スイセン)

犬の祭壇と枕飾り・神道編

神道様式の犬猫祭壇と枕飾り
  • 八足机(供え物をする台)
  • 三方と供え物(故人の好物)
  • 花瓶と榊(さかき)

犬の祭壇と枕飾り・キリスト教編

キリスト教様式の犬猫向け祭壇と枕飾り
  • 白い布をかけた台
  • 十字架
  • 聖書
  • 白い花
  • ろうそく立てとろうそく
  • パン
お葬式が終わった後は遺骨を載せ、気持ちが落ち着くまでの祭壇にすることもできるでしょう。セット販売の市販品もあります。