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血統書とは何か? 血統書とラベリング効果 血統書と露出効果 血統書と飼い主の自己愛 血統書の功罪

血統書とは何か?

 皆さんは「血統書」、「純血種」、「ドッグショーのチャンピオン」と聞いて何を想像しますか?多くの人は「雑種よりも生まれつき優れた犬」という印象をもたれるのではないでしょうか。では優れているとはどういう意味でしょう?仮にドッグショーでチャンピオンになった犬が優れているとすると、それは犬種協会の決めた犬の標準(スタンダード)に姿形が近いという意味です。では犬種協会の決めているスタンダードという基準には、一体どういう根拠があるのでしょうか?実は犬のスタンダードに明確な根拠はありません。人間が勝手に犬の姿形に関する標準を定めているだけです。
つまり我々は「血統書付きの純血種で、ドッグショーでチャンピオンになった犬」を高いお金を払って買っていますが、結局それは明確な根拠のない付加価値に対してお金を払っているのです。
ではなぜ我々は何の疑問も持たずにこのような実体のない付加価値に対して出費をしてしまうのでしょうか?それには以下に説明する人間の心理が働いています。

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血統書とラべリング効果

ラベリング効果とは「外側にラベルを貼ることによって、ラベルを貼られたものの内容や価値が決定されてしまう」という心理現象のことです。

ラベリング効果の例〜その1
左の指輪をご覧下さい。どちらの指輪に価値があると思いますか?ほとんどの人は右側の指輪を選ぶと思います。 それは単純に右側のほうが値段が高いからです。この場合は「値札」というラベルによって全く同じ指輪でも価値に差が生まれてしまうという例です。
ラベリング効果の例〜その2
右の壷をご覧下さい。 知識のない人が見ると梅干用の壷にしか見えませんが、権威のある鑑定家が「いい仕事してますねぇ」と言った途端にラベルが貼られ、 数千万円の壷に見えてしまうかもしれません。この場合は権威者の言葉がラベルとなった例です。
ラベリング効果と血統書の関係
今度は犬を比べてみましょう。どちらの犬にに価値があると思いますか? ほとんどの人は左側の「血統書付き」の犬のほうが何となく優れた犬のように感じませんか?この場合はペットショップが付ける「純血種」、 「血統書」、「チャンピオン」etcというラベルと、値札によるラベルの両方によって消費者の価値観がコントロールされる例です。
しかしその「純血種」etcというラベル自体に価値がなかったらどうなるのでしょうか?消費者はただ単に実体のない漠然としたイメージに対して料金 を払うことになりますし、実際多くの人が料金を払っているのが現状です。

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血統書と露出効果

露出効果とは?
もう一つの要因は露出効果です。露出効果とは「目に多く触れれば触れるほど、人はその対象に好感を抱くようになる」という心理現象のことを言います。
たとえばエッフェル塔の例が上げられます。最初エッフェル塔が建設された当時は「鉄のガラクタ」、「財政の無駄遣い」等相当な不評を買ったそうです。しかし何度も人目に触れるようになると、逆にそこにあることが当然という感じ方に段々と変わってきます。その結果今ではルーブル美術館よりも多くの観光客を集めるフランスの観光名所となりました。
このように頻繁に目にすることにより、その対象に対していつの間にか好感を抱くようになる心理現象を「露出効果」と呼びます。
血統書と露出効果の関係
犬の場合を考えて見ましょう。ペットショップで見かける犬、CMに出てくる犬、本屋で犬種カタログに載っている犬は全ていわゆる「純血種」と呼ばれるものばかりです。こうしたメディアに接する我々の眼には、いつの間にか純血種の姿形が繰り返し写されることとなります。結果として純血種の姿形に対して条件反射的な好感を抱く傾向が生まれ、また逆に見慣れない雑種に対しては違和感のようなものを覚えてしまう傾向が生まれてしまいます。
我々消費者はこの露出効果により、高いお金を出してでも何となく安心する純血種のほうを選びやすくなってしまうと考えられます。

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血統書と飼い主の自己愛

「血統書付きの犬を買う」という行為は、飼い主の自己愛の裏返しであることがしばしばあります。

 一部の人間にとって血統書付きで高価な犬を連れ歩くと言う行為は、ブランド物のバッグを持ち歩いたり、有名ブランドのスーツを着たり、高級外車に乗るのと同様の意味があります。 つまり、不特定多数の人間に対し、自分の経済力や生活水準の高さ、そして自分の存在価値をアピールして優越感に浸るという意味があるのです。
 こうした見栄や体裁を重視している人間は、「チャンピオンの血統を受け継いだ優秀な犬は、私のような優れた人間にふさわしい」、「高貴なあの方も飼っている高貴なヨークシャーテリアは、私のような高貴な人間にぴったり」、「純血種で高価な犬でないと、人間として価値の高い私とは吊り合わない」といった深層心理に動かされて犬を選びます。
 ですから犬を社会的ステータスとして考えている人間は、犬を愛するために飼うと言うよりは見せるために飼うのであり、他人に対する体裁を重視する人間にとって「血統書」というものは必要以上に魅力的に思えてしまうことがあるのです。


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血統書の功罪

「ラベリング効果」と「露出効果」、そして「飼い主自身の自己愛の裏返し」によって、我々消費者の心理には「血統書=価値がある」「血統書=安心」という印象がいつの間にか植え付けられます。こうした第一印象を度外視し、冷静に血統書のメリットを考えてみましょう

「犬種協会が決めた犬種標準にその犬の容姿が近いこと」
「その犬の親犬がはっきりわかること」
「ブリーダーは誰だかはっきりわかること」
「親犬の姿形を見ることができるようならその犬が成犬になったときの姿を想像しやすいこと」

などが挙げられます。
また逆に血統書のデメリットも考えて見ましょう。
「犬種標準には明確な根拠がないこと」
「犬種標準に近づけてなるべく高い値段で犬を売るため、ブリーダーが近親交配で生ませた可能性があること」
「近親交配の結果、遺伝病の発生確率が高まっている危険性があること」

などが挙げられます。
消費者としては無意識的に植え付けられる「血統書」というものに対する先入観を冷静に見極めること、 また意識的に比較検討できるメリットとデメリットを差引勘定した上で、血統書に高いお金を払う価値があるかどうか判断するのが賢明です。

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