トップ有名な犬一覧科学や学問に関わる犬スナッピー

スナッピー

 クローン技術によって生まれた世界初の犬「スナッピー」について解説します。

スナッピーとは?

 スナッピーは、クローン技術によって生まれた世界初の犬。
世界初・クローン技術によって誕生した犬「スナッピー」(Snuppy)  「クローン」(clone)とは、親の遺伝子と全く同じ遺伝子を持った動物を人工的に作り出すことです。哺乳類では、早くも1996年にヒツジの「ドーリー」が誕生したことで話題となりましたが、犬に関して最初のクローニングに成功したのは、韓国のソウル大学です。
 2005年4月24日、ソウル大学のファン・ウソク(黄禹錫)教授が率いる45人からなるチームは、 世界で初めて犬のクローニングに成功し、この記念すべき犬を「スナッピー」と名づけました。名前の由来は、「Seoul National University」の頭文字「SNU」と子犬を意味する「Puppy」から来ています。
 チームは発情期にあるメス犬の子宮から卵子を取り出し、そこに3歳になるアフガンハウンドの耳から採取した組織を、特殊な技術を用いて融合させました。こうしてできた受精卵は、123頭いる代理母の体内に、合計1,095回移植され、その内3頭だけが妊娠するに至ったといいます。3頭の内1頭は流産、1頭は生後3週のとき肺炎で死亡しましたが、最後の1頭だけは生き残り、記念すべきクローン犬第1号「スナッピー」となりました。
「スナッピー」の遺伝子を用いて、次世代のクローニングも成功している  世界最初のクローン犬となったスナッピーは、2008年には父親になっています。ファン・ウソク教授の後を受け継いだイ・ビョンチョン氏(李柄千)は、スナッピーの精子を用い、クローン技術によって生まれた他のメス犬2頭を人工的に妊娠させました。その結果、10頭の子犬が誕生しています。イ・ビョンチョン氏はこうした成功を受け、「通常は任に付く前に不妊手術を施される使役犬でも、クローン技術を用いれば複製が可能である」とし、現に幾つかの先例を残しています。
 例えば、2009年7月には、クローン技術によって生まれた麻薬探知犬「トッピー」が、韓国の税関で任に付いています。またガン探知犬として有名な日本のラブラドールレトリバー「マリーン」も、2008年にクローン化されました。 Snuppy Toppy

スナッピーの写真

 以下でご紹介するのは、クローン技術によって生まれた世界初の犬「スナッピー」の写真です。 ファン・ウソク(黄禹錫)教授とスナッピー
 世界初となる犬のクローニングは、アメリカ・タイム誌によって「2005年度・最も驚くべき発明」に選ばれた。こうした成果を残す一方、ソウル大学のファン・ウソク教授は虚偽報告のせいで大学を解雇されている。「人間の受精卵をクローンすることに成功した」と、大風呂敷を広げたのが原因。写真の出典はこちら
クローン技術によって誕生した麻薬探知犬「トッピー」
 虚偽報告で失職したファン・ウソク教授に代わってチームリーダーになったイ・ビョンチョン氏は、ソウル政府の支援を受けて「トッピー」を生み出した。「トッピー」とは「Tomorrow's Puppy」の略で、クローン技術で生み出された使役犬の総称。2007年の暮れ、3頭の代理母から生まれた7頭のラブラドールレトリバーは、カナダの麻薬探知犬からDNA提供を受け、16ヶ月の訓練を経て、ソウルの税関で働いている。写真の出典はこちら
日本の「ガン探知犬」マリーン
 セントシュガーがん探知犬育成センターの佐藤悠二所長とマリーン。日本のガン探知犬「マリーン」も、韓国でクローン化された犬の1頭。子宮を摘出しているため出産ができないマリーンの遺伝子を残そうと、日本の株式会社シームスが中心となり、韓国にクローニングを依頼。結局4頭の子犬が産まれたが、当時の価格で1頭に5億ウォン(約5,200万円)の値が付いたという。写真の出典はこちら