トップ有名な犬一覧騒動を引き起こした犬ナティヴィダッド

ナティヴィダッド

 芸術という名の下、飢えで衰弱した姿を展示された犬「ナティヴィダッド」について解説します。

ナティヴィダッドとは?

 ナティヴィダッド(Natividad)は、芸術という名の下、飢えで衰弱した姿を展示された犬。
動物虐待ではないかと物議をかもした芸術作品(?)のナティヴィダッド  コスタリカ生まれの芸術家ギジェルモ・バルガスが、一匹の犬をロープでつなぎ、芸術作品と称して展示会に出展したのは、2007年8月のことでした。スペイン語で「降誕」を意味する「ナティヴィダッド」(Natividad)と名付けられたこの犬は、元はニカラグアの路上をうろついていた野良犬だったといいます。展示会場となったニカラグアの「コディセ・ギャラリー」では、このナティヴィダッドがむき出しの壁にロープでつながれ、その近くにはドッグフードを並べて書かれた「Eres lo que lees」(読み取ったものが、あなたそのもの)という文字があったそうです。
 展示会が終了するやいなや、「犬が意図的に飢え死にさせられた」というまことしやかな噂がネット上で流れ出したため、動物愛好家たちは大激怒します。早速、芸術家をホンジュラスの「ビジュアルアートビエンナーレ」から締め出す署名運動が開始され、また本人には数百にも及ぶ殺害予告が届くようになりました。
 こうした反発に対し当の芸術家は、作品の意図に関して「飢えた犬が道端にいても知らん顔するくせに、同じ犬が展示会場にいるとなぜか同情を示す。それは偽善だということを示したかった」と、語っています。しかし「犬が死んだのか?」という問いに対しては、最初は「死んだ」としておきながら、後に「ノーコメント」を貫くなど、煮え切らない態度を示すようになりました。
 芸術家の意図はどうであれ、悲惨な境遇にある動物をさらし者にすることは、「芸術」という金看板をもってしても難しいということが、この出来事によって証明されたと言えるでしょう。 Guillermo Vargas Mail Online Arte

ナティヴィダッドの写真

 以下でご紹介するのは、芸術という名の下、飢えで衰弱した姿を展示された犬「ナティヴィダッド」の写真です。 展示室に約3日間ロープでくくりつけられたナディヴァダッド
 ナディヴァダッドが引き起こした騒動に対し、アメリカ動物愛護協会(HSUS)は「こうした形での生きた動物の展示に対しては、断固反対する」という態度を表明した。また「動物保護のための世界協会」(WSPA)も、翌年に開催されたビエンナーレのスポンサーと協議し、この種の展示が行われないよう要請を出した。写真の出典はこちら
展示会終了後、ナディヴァダッドの消息は不明となった
 ナディヴァダッドのその後については幾つかの説がある。芸術家本人は「ノーコメント」、ギャラリーの責任者は「展示の最終日に逃げてしまった」、ネットの噂は「死んでしまった」としている。写真の出典はこちら
イギリスの芸術家ダミアン・ハーストの初期の作品「Away from the Flock」(1994)
 「動物を展示する」ことで有名な芸術家としては、イギリスのダミアン・ハーストがいる。彼は1990年代、死んだサメやヒツジをギャラリーに展示し、一部の人からは大きなひんしゅくを買った。写真の出典はこちら