トップ有名な犬一覧人命を救助した犬ラチーナ

ラチーナ

 森の中に捨てられていた赤ん坊を介抱した母犬「ラチーナ」について解説します。

ラチーナとは?

 ラチーナ(La China)は、森の中に捨てられていた赤ん坊を介抱した母犬。
 2008年8月のある日、アルゼンチンのブエノスアイレス郊外にある貧民街に赤ん坊が捨てられていました。母親は14歳になる少女で、後に語ったところによると、親に叱られるのが怖くてパニックに陥り、生後間もない彼を捨ててしまったとのこと。
赤ん坊の命を救った母性本能の強い犬・ラチーナ  哀れにも、木箱やゴミの散乱した森の中に遺棄された赤ん坊でしたが、結局一命を取り留めます。彼を救ったのは、後悔の念に駆られた少女ではなく、母性本能の強い犬でした。
 8歳になる犬のラチーナは、農夫ファビオ・アンゼさん宅の裏で、生まれたばかりの6匹の子犬を育てていました。詳しい経緯は不明ですが、8歳になるこのメス犬は、家の裏から50メートルほど離れた所にいた赤ん坊の存在に気づき、何らかの方法を使って保育場所まで連れ帰ったようです。赤ん坊の体重は3キログラム以上あったにもかかわらず、体には歯で噛んだ跡が全くなかったことから、ラチーナがどのようにして赤ん坊を移動させたかについては、いまだに謎のままです。
 その日の夜11時頃、家の主ファビオ・アンゼさんは、遠くで赤ん坊が泣いていることに気づき、急いで家の周辺を探してみました。そして彼が家の裏手で見つけたものは、ラチーナと生後間もない6匹の子犬、そしてボロ布を掛けられた赤ん坊だったのです。
 赤ん坊は警察の車両に乗り、すぐに近くの病院へと搬送されました。犬によって命を救われた彼は、病院のスタッフにより「エスペランツァ」(Esperanza=希望)と名づけられ、ブエノスアイレスから60キロメートル離れたラプラタの小児病院へと移送されました。
 一方、14歳の少女は、赤ん坊が病院に保護された翌日に出頭し、高校に通っている間は福祉局から補助を受けられることになっています。
 そして赤ん坊にとって「命の恩犬」となったラチーナはというと、突然訪れた報道陣にビックリして一時は食欲不振に陥ったということです。しかし、しばらくすると元気を取り戻し、6匹の子犬とのせわしない生活に戻ったといいます。 BBC NEWS Dog Heirs CNN

ラチーナの写真・動画

 以下でご紹介するのは、森の中に捨てられていた赤ん坊を介抱した母犬「ラチーナ」の写真と動画です。 ファビオ・アンゼさん宅の裏で子犬たちを育てていたラチーナ
 犬が赤ん坊を育てるという話は、「ロームルスとレムス」の話を彷彿(ほうふつ)とさせる。ロームルスとレムスは、赤ん坊の頃にオオカミによって育てられ、後にローマを建国したとされる伝説上の人物。写真の出典はこちら
赤ん坊を救ったことに対する表彰状を受け取るラチーナ
 ラチーナの英雄的な行動に対し、多くの人々が賞賛の声を送った。犬の母性本能に関しては、レイ・コピンジャーが行った面白く、なおかつ切ない実験がある。彼は出産後間もない母犬に、子犬の「クンクン鳴き」を録音したテープレコーダーを聞かせた。すると驚いたことに、母犬はテープレコーダーを口にくわえ、そのまま巣に持ち帰ったという。ラチーナが赤ん坊を巣に運ぼうと思ったのは、ひょっとすると彼が森の中で「くんくん」と声を出していたからかもしれない。写真の出典はこちら
母性犬ラチーナ
 以下でご紹介するのは、赤ん坊を救い出したラチーナの美談に関するCNNのニュース映像です。 元動画は→こちら