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犬を選ぶときの注意

 健康な子犬を選ぶときのチェックポイントと注意点です。たくさん子犬がいて目移りしてしまうときなど、参考にしてみてください。 また、犬を飼った後の健康状態をチェックする際の指標(しひょう)にもなります。

子犬を選ぶときのポイント

 子犬を選ぶときのチェックポイントをリスト化しました。性格まで見抜くことは難しいですが、健康優良児かどうかはある程度判断できます。
健康な子犬の見方
子犬が健康かどうかを見抜く際のチェックポイントです。
  •  黒目は適度にきらきらしており、白目には充血がないこと。目ヤニがなく、異常な涙目でないこと。 犬の目の病気
  •  適度に湿り気があること(睡眠中は乾いていても良い)。犬の鼻の病気
  •  中がきれいで変なにおいがせず、音に敏感に反応すること。 犬の耳の病気
  •  口臭がなく歯並びが良いこと。歯茎は健康なピンク色であること。 犬の歯・口の病気
  • お尻 肛門がきれいに締まっていてただれていないこと。尻尾の動きが元気なこと。 犬の肛門の病気
  • 皮膚 毛づやが良く、毛を掻き分けたとき皮膚にフケや湿疹がないこと。 犬の皮膚の病気
  •  骨格がしっかりしていてふらふらと変な歩き方をしないこと。 犬の筋骨格の病気
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犬選びの注意点

 犬を選ぶときのタイプ別チェックリストです。ご自分のライフスタイルや性格と対比しながら、最も適していると思われる犬を選びましょう。

オス犬かメス犬か

犬を選ぶときオス犬かメス犬かという観点で考えて見ましょう。  オス犬はメス犬よりもやや体が大きめです。また運動が好きでメスよりも活動的といえるでしょう。結果としてやや餌代が高くつく可能性があります。去勢していない場合は発情期に合わせて攻撃性が高まるかも知れません。また、未去勢のオスによく見られる行動特性として、「飼い主に対する支配性」、「他の犬に対する攻撃性」、「縄張り防衛」などを挙げる研究者もいます(Hart&Hart, 1985)。
 一方メスはオスに比べてやや活動性が低くおとなしめです。避妊していない場合は発情期に合わせて気分が落ち込むこともあり、子宮や卵巣の腫瘍など、メス特有の疾病が発症するリスクもあります。また、未避妊手術のメスによく見られる行動特性として、「服従しやすさ」、「トイレのしつけやすさ」、「甘えたがる」などを挙げる研究者もいます(Hart&Hart, 1985)。 犬の不妊手術 犬の生殖器の病気

長毛か短毛か

犬を選ぶとき長毛か短毛かという観点で考えて見ましょう。  長毛の犬は放っておくと毛玉ができやすいので、ブラッシングに時間をかける必要があります。またシャンプーは月1~2回、プードルやビションフリーゼのように毛が伸び続ける犬種の場合は定期的なトリミングも必要となります。
 一方短毛の犬は長毛の犬に比べると手入れが楽です。換毛期のある犬もいますが、気温が比較的安定している室内で飼っていれば次第に本来の換毛期がはっきりしなくなってくるようです。柴犬などの毛は柔らかくて掃除もしやすいですが、ドーベルマンやラブラドールレトリバーのように硬くてチクチクする掃除の大変な毛の犬種もいます。 犬の毛のケア 犬の毛

室内飼いか外飼いか

犬を選ぶとき室内飼いか外飼いかという観点で考えて見ましょう。  犬に対して番犬としての役割を期待している場合や、犬が超大型犬の場合は、屋外で飼われることが多くなります。しかし、そもそも犬は群れを作って走り回りながら活動的に暮らす生き物です。その犬を長時間漫然と鎖につないでいること自体が、見方によっては虐待ともとれます。またストレスから長時間吠えたり、早朝や深夜に吠えるようになると近隣住人とのトラブルになりますので、犬を屋外飼育する場合はそれなりの知識と準備が必要となるでしょう。
 屋内犬の場合は、賃貸住宅の契約違反や近隣住人との騒音・悪臭トラブルがよくありますので、十分な知識を得た上でお飼い下さい。 犬を飼う室内環境 犬を庭や外で飼う

単頭飼いか多頭飼いか

犬を選ぶとき一頭飼いか多頭飼いかという観点で考えて見ましょう。  単頭飼いの場合、遊び相手がいなくて犬が寂しがるかもしれません。また、飼い主とべったりの関係になり、分離不安(飼い主がいなくなると無駄吠えなどの問題行動を起こす)を示す可能性も考えられます。しつけによって問題行動はある程度解決可能ですが、犬を単頭飼いする場合は、留守番が少なく、多くの時間を犬に避ける家庭の方が向いているでしょう。
 一方、1匹だとさびしいだろうという理由から、2匹同時に購入する人もいます。犬に遊び相手がいる方がよいのは事実ですが、実際2匹同時に飼うとなると相当大変です。また単純に2倍の経費が掛かりますので、多頭飼いする時は何となくや勢いではなく 飼う前に厳密にシミュレーションしてからご決断下さい。 犬を飼う費用 犬の留守番のしつけ

純血種か雑種か

犬を選ぶとき純血種か雑種かという観点で考えて見ましょう。  純血種であれば 成長時の体の大きさや遺伝的疾患、またある程度であれば気質や性格も予想できます。しかし見た目を重視した交配の結果、遺伝的疾患の出やすい犬種もあるという点がデメリットです。金儲けのために人気犬種を次々に繁殖させているような悪質なブリーダーもいますので、飼い主の側の知識と見る目が問われます。
 一方雑種犬は両親犬がわかっていないので、その子の性格や成犬時の大きさなどの予測が付きにくいという難点があります。しかし純血種に比べると遺伝性の疾患にかかる率が比較的少ないという点がメリットでしょう。 犬の種類 血統書について

大型犬か小型犬か

犬を選ぶとき大型犬か小型犬かという観点で考えて見ましょう。  大型犬は小型犬に比べて多くの運動量を要求しますので、飼い主の側でも散歩等の運動に対する配慮が求められます。散歩に連れて行く時間がほとんどないという方は控えたほうが良いでしょう。室内での生活に適応できる犬も多くいますが、家の中での破壊行動につながらないよう、何らかの形で犬のストレスを軽減させる必要があります。また当然小型犬よりも餌代を始めとする経費は体が大きい分だけかかります。
 小型犬は大型犬ほど運動量を必要としません。家の中を走り回るだけで満足する犬が多いようですが、実際にはやはり多少屋外に連れ出して散歩した方がよいでしょう。また小型犬は一般的に温度差に弱いため、屋外でのアウトドアにはあまり向いていません。 犬の散歩 犬を飼う室内環境
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子犬の性格テスト

 犬の性格形成には先天的な性質と、後天的な生育環境の両方が関わっていますが、落ち着き、人懐こさ、攻撃性など「先天的な性質」を知る方法として、幾つかの性格テストが考案されています。非常に多くのバリエーションがありますが、以下では代表的と思われるものをご紹介します。

ヴォルハードの子犬性格テスト

 「ヴォルハードの子犬性格テスト」(Volhard’s Puppy Aptitude Testing)は、1930年代から50年代に掛けて、盲導犬の訓練しやすさを予測するために考案されたテストです。テストを実施するタイミングとしては、子犬の脳が十分発達しており、また学習による紛れの少ない生後7週齢ごろが最適とされます。 Choosing Your Puppy

子犬の性格テスト・実施上の注意

 テストは10項目から構成されており、実施する際は以下のような注意点を守るよう推奨されています。
子犬の性格テスト・実施要領
  • 子犬になじみのない10平方メートル程度の場所で行うこと
  • 1度のテストで対象とするのは1匹だけにすること
  • テスト実施者は子犬の知らない人が行うこと
  • 採点者は利害関係のない第三者が理想で、特に犬の販売者は避けること
  • 採点者は子犬からなるべく見えない場所にいること
  • 眠くなるためエサを食べる前に行うこと
  • 具合の悪いときを避け、最も元気なときに行うこと
  • ワクチン接種日の前後は避けること
  • 最初のリアクションのみを有効とすること

子犬の性格テスト・実施方法

 以下は子犬の性格テスト(PAT)を実施する際の具体的な手順です。テスト実施中は子犬の素の性格を最大限に引き出すため、努めて快活で元気いっぱいな態度で臨むようにします。また採点者はあらかじめ決められた基準に従い、子犬のとった行動を1~6点の間で採点します。
子犬の性格テスト(PAT)
 以下でご紹介するのはヴォルハードの子犬性格テスト(Volhard’s Puppy Aptitude Testing)と呼ばれるものです。7番目の「指つまみテスト」が省略されていますのでご注意ください。なお、1~5番目までの省略型は「キャンベルテスト」として知られています。 元動画は⇒こちら
  • 呼び込みテスト  「呼び込みテスト」(Social attraction)は、テスト実施者が手を叩いたり名前を呼んだりして子犬を自分のほうに呼び込むテストです。行うときは膝をつき、子犬にプレッシャーを掛けないようにします。また手を叩くときは体の近くに寄せ、両手を広げて誘わないようにします。 呼び込みテスト(Social attraction)の具体的なやり方
    1点=しっぽを上げて飛び跳ねながらすぐにやってきて手を噛む
    2点=しっぽを上げながらすぐにやってきて、お手をしたり手を舐める
    3点=しっぽを上げながらすぐにやってくる
    4点=すぐに来るがしっぽが下がっている
    5点=ためらいながらもやってくる
    6点=まったくよってこない
  • 追いかけテスト  「追いかけテスト」(Following)は、テスト実施者が立ち上がって歩き回り、子犬がついてくるかどうかを確認するテストです。軽く手を叩いたり声を出したりして子犬の注意をこちらに向けるようにします。 追いかけテスト(Following)の具体的なやり方
    1点=しっぽを上げながらすぐについてきて足にまとわりつき、噛み付く
    2点=しっぽを上げながらすぐについてきて足にまとわりつく
    3点=しっぽを上げながらすぐについてくる
    4点=すぐについて来るがしっぽが下がっている
    5点=ためらいながらもついてくる
    6点=まったくついてこない
  • 押さえつけテスト  「押さえつけテスト」(Restraint)は、テスト実施者が子犬を仰向けにし、胸元を押さえたまま30秒間ホールドするテストです。子犬を横たえるときはあまり強引にならないよう注意します。 押さえつけテスト(Restraint)の具体的なやり方
    1点=激しく抵抗して手足をばたつかせ、噛み付く
    2点=激しく抵抗して手足をばたつかせる
    3点=じっとした後抵抗を示し、目を見つめながら再び落ち着く
    4点=抵抗した後、落ち着く
    5点=抵抗しない
    6点=抵抗せず、アイコンタクトを避けようともしない
  • さすりテスト  「さすりテスト」(Social Dominance)は、テスト実施者が子犬のそばにしゃがみこみ、頭から背中にかけてゆっくりとなで、顔を舐めるなど甘える動作が出るまで待つテストです。最初は子犬とテスト実施者が同じ方向を向き、不自然に覆いかぶさらないよう注意します。 さすりテスト(Social Dominance)の具体的なやり方
    1点=飛び上がって押しのけたり噛んだりうなったりする
    2点=飛び上がって押しのける
    3点=実施者によじ登って顔を舐めようとする
    4点=身もだえして手を舐める
    5点=おなかを見せて手を舐める
    6点=距離を置いて近づこうとしない
  • 持ち上げテスト  「持ち上げテスト」(Elevation Dominance)は、テスト実施者が子犬を後ろから抱きかかえ、持ち上げた状態で30秒間ホールドするテストです。 持ち上げテスト(Elevation Dominance)の具体的なやり方
    1点=激しく抵抗して噛もうとする
    2点=激しく抵抗する
    3点=激しい抵抗と落ち着きを繰り返す
    4点=抵抗せずリラックスしている
    5点=抵抗しないが体を硬くしている
    6点=抵抗せず微動だにしない
  • とってこいテスト  「とってこいテスト」(Retrieving)は、テスト実施者が丸めた紙を投げて子犬に取ってこさせるテストです。まず子犬の注意を紙に集め、興味を示したタイミングで1メートルほど投げてみます。その後軽く声などを出して子犬がとってくるかどうかを確認します。 とってこいテスト(Retrieving)の具体的なやり方
    1点=追いかけて口にくわえ、そのままどこかへ行ってしまう
    2点=追いかけてその場に立ちつくし、戻ってこない
    3点=追いかけて口にくわえ、実施者の元に戻ってくる
    4点=追いかけて何もくわえずに実施者の元に戻ってくる
    5点=追いかけるが途中で興味を失う
    6点=追いかけようとしない
  • 指つまみテスト  「指つまみテスト」(Touch Sensitivity)は、テスト実施者が子犬の前足指の間にある水かき状の皮膚を探り、親指と人差し指で軽くつまんでみるテストです。10数えながら徐々につまむ力を強め、子犬が嫌がったり逃れようとしたらやめます(※動画内では省略されています)。
    1点=反応まで8~10秒
    2点=反応まで6~8秒
    3点=反応まで5~6秒
    4点=反応まで3~5秒
    5点=反応まで2~3秒
    6点=反応まで1~2秒
  • おどかしテスト  「おどかしテスト」(Sound Sensitivity)は、協力者がテストエリアの外で急な物音を立てるテストです。フライパンや鍋をスプーンで叩くなどします。 おどかしテスト(Sound Sensitivity)の具体的なやり方
    1点=音の位置を確かめ、吠えながらそこへ近づく
    2点=音の位置を確かめ、ゆっくりとそこへ近づく
    3点=音の位置を確かめ、興味を示す
    4点=音の位置を確かめる
    5点=すくんで後退し、実施者の後ろに隠れようとする
    6点=音を無視し、何の興味も示さない
  • かき回しテスト  「かき回しテスト」(Sight Sensitivity)は、テスト実施者がバスタオルを結んだものを子犬の前で動かしてみるテストです。50~60センチメートル離した場所で、すばやく動かします。 かき回しテスト(Sight Sensitivity)の具体的なやり方
    1点=タオルを認め、攻撃して噛もうとする
    2点=タオルを認め、足で抑えたり口を近づけたりする
    3点=タオルを認め、しっぽを上げながら調べようとする
    4点=興味を示すがしっぽが下がっている
    5点=逃げ出して実施者の後ろに隠れる
    6点=実施者の後ろに隠れる
  • 落ち着きテスト  「落ち着きテスト」(Stability)は、テスト実施者が1.5メートル離れた場所で傘を開くテストです。開いた後はゆっくりと傘を地面に置きます。 落ち着きテスト(Stability)の具体的なやり方
    1点=傘を認め、走りよって噛み付こうとする
    2点=傘を認め、歩み寄って興味深げにくんくんにおいを嗅ぐ
    3点=傘を認め、調べようと近づく
    4点=動きを止めて傘を認めるものの、近づこうとしない
    5点=ほとんど興味を示さない
    6点=傘から逃げ出す

子犬の性格テスト・採点結果

 1~6点の間で採点された各テストの結果に応じて、以下のような性格判断の目安が設けられています。
性格テスト・採点結果
  • 1点が多い  序列内での地位を上げることに専心するタイプで、群れのリーダーになろうとする傾向が強い。人や他の犬に対して攻撃的になることもあり、犬のしつけに習熟した家庭にもらわれるべきで、初心者や子供のいる家庭には不向き。
  • 2点が多い  自尊心とリーダー願望が強く、しつけにてこずるタイプ。子供や年配者、他の動物に対して従順性がないため、初心者や子供のいる家庭には不向きだが、ショードッグとしては大成する可能性がある。
  • 3点が多い  活動的で多くの運動を必要とするタイプ。人や他の動物とは仲良くでき、また覚えが速く、しつけに対するリアクションはよい。初心者には難しいが犬の飼育経験者ならうまくやっていける。
  • 4点が多い  ペットとして最高の資質を備えており、年配者や子供、ペット初心者とも比較的うまく暮らしていけるタイプ。序列への興味がなく、もの覚えも早いためしつけがしやすい。
  • 5点が多い  怖がりで人見知りが激しく、特殊なハンドリング訓練が必要なタイプ。追い詰められると恐怖心から攻撃に転ずることもあるので注意が必要。ちょっとしたストレスにも敏感で、見知らぬ人や物、床や地面の変化にも一喜一憂する。特に大きな音に敏感で、雷を苦手とするものが多い。子供がおらず、環境の変化が少ない家庭がふさわしい。
  • 6点が多い  極めて独立心が強く、人の存在を必要としないタイプ。人になつきにくく、番犬としては優秀かもしれないが、人懐こい性格に変えることは極めて困難なため、愛玩動物を求める人には全く不向き。

子犬の性格テストは万能ではない

 子犬の性格テストを行ったからといって、確実に成長後の性格を見抜けるわけではありません。それは以下に述べるような紛糾する様々な意見からも明らかです。
性格テストに対する様々な見方
  • モンクス・オブ・ニュースキート  聖職者からなる犬の訓練集団、モンクス・オブ・ニュースキートによると、1腹の中には必ず一匹狼、攻撃的な子、引っ込み思案の子がおり、自分から人のほうにやってくる子は将来支配的な犬になり、問題を起こす可能性が高いとしています。
  • テンプル・グランディン  自閉症といういう独特の視点から動物の感覚を解説するテンプル・グランディン女史は、スタートルテスト(手を叩くなど突然大きな音を聞かせるテスト)を行った際、囲いの隅に逃げていくような犬ではなく、興味津々でまっすぐ向かってくる人懐こい犬を選ぶよう推奨しています。
  • ショーン・エリス  野生のオオカミと暮らしたことのあるショーン・エリスは独自の観察眼から、犬舎の奥でじっとしている用心深いものは後にアルファ(序列第一位で、繁殖役として子孫を残すことが至上命令の落ち着いた個体)になりやすく、逆に手を差し伸べるとのこのこ近づいていくようなものはベータ(序列第二位で、群れを守る用心棒の役割を担うややケッカっ早い個体)になりやすいとしています。
  • クラレンス・ファッフェンバルガー  盲導犬への適正テストを開発したクラレンス・ファッフェンバルガーは、子犬の「フェッチ能力」(とってこいの能力)が、成長後盲導犬訓練に成功するかどうかの最良の目安になると指摘しています。投げられたテニスボールに駆け寄る、くわえる、くわえて何歩か歩く、取ってくるといったそぶりを見せない犬は、成犬になったとき訓練しにくいとされます。
 上記したように、「よってくる子犬がよい」とする意見と「よってくる子犬は問題児になりやすい」という意見が真っ向から対立しており、人によっては全く正反対の行動指標を支持しているというのが現状です。このことは、性格テストが絶対的な効力を持つ預言書ではないことを如実に物語っています。
 またオオカミの子獣の研究では、生後8週齢で見られる支配性が1歳時のその個体の地位とうまく合致しているものの、近縁種である犬においては必ずしも同じ結果にはならないことも確認されています(「犬と猫の行動学」・インターズー, P110)。こうした事実も、生後6~8週頃に行うパピーテストの不確実性を示しています。
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子犬の性格を決定するもの

 犬の性格形成には先天的な性質と、後天的な生育環境の両方が関わっていると先述しましたが、具体的には以下のような要因が複雑に絡み合っています。

生まれつきの脳内伝達物質

 1991年、M.J.Raleighらがサバンナモンキーを用いて行った実験では、脳内伝達物質の1つであるセロトニンの体内濃度が個体の性格を大きく左右するという結果が出ています。具体的には、セロトニン値が最も高い個体は攻撃性が最も低く、その落ち着いた態度から支配的になりやすく、逆にセロトニン値が最も低い個体は攻撃性が最も高く、あまり落ち着きがないことから支配的になりにくいというものでした。
 また、遺伝学者のロバート・クロニンジャーが提唱した気質の3軸モデルは、犬や猫などヒト以外の哺乳類にも存在しており、動物の行動特性を理解する上で有用であろうとされています。気質の3軸モデルとは、脳内における神経伝達物質の個体差が、行動の個性を生み出すという概念です。具体的には以下。 動物行動学(インターズー)
気質の3軸モデル(ヒト)
  • 新奇性探求 主にドーパミン系の神経伝達物質が関わっていると考えられており、興奮しやすい、衝動的、慎重、禁欲的などの行動特性として現れる。
  • 損害回避 主にセロトニン系の神経伝達物質が関わっていると考えられており、不安症、抑制的、無鉄砲、自信過剰などの行動特性として現れる。
  • 報酬依存 主にノルアドレナリン系の神経伝達物質が関わっていると考えられており、感情的、依存心が強い、批判的、現実的などの行動特性として現れる。
 このように、様々な脳内伝達物質の個性が、個々の性格をある程度方向付けている可能性があるわけです。

社会化期の過ごし方

 生後3~12週齢の時期を社会化期といい、この時期をどう過ごすかが子犬の性格形成に決定的な影響力を持ちます。つまり生後7週齢ごろにテストを行い、ある程度子犬の性格の目安が分かったとしても、その後の過ごし方いかんによっては、全く別の性格が形成されてしまう可能性があるというわけです。
 性格テストで子犬のキャラクターを決め付けてしまうと、時に社会化期の重要性を忘れてしまいがちになります。子犬の社会化期を参考にしながら、飼い主の側でできることがないかどうかを、今一度確認しておきましょう。
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