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犬のタンパク喪失性腸症

 犬のタンパク喪失性腸症について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬のタンパク喪失性腸症の病態と症状

 犬のタンパク喪失性腸症とは、小腸に連なるリンパ管の流れが悪くなり、破損した管からリンパ液が漏れ出してしまった状態のことです。
 小腸から吸収された栄養素は、微絨毛(びじゅうもう)内にある中心リンパ管から乳び管と呼ばれる細い管を通って近くにあるリンパ管に合流します。しかし、リンパ管の側に通過障害があると、本来そこへ入って行くべき体液が行き場を失い、しまいにはリンパ管の破損を招いてしまいます。これが「リンパ管拡張症」です。 犬の小腸と微絨毛の模式図~中心リンパ管から乳び管へ連なるところ  リンパ管が拡張すると、アミノ酸(アルブミンやグロブリン)、リンパ球、脂質(カイロミクロン)といった成分を豊富に含んだ体液は、吸収されないまま消化管内にダダ漏れとなります。その結果、血液中のアルブミン濃度が減少し「低タンパク血症」を引き起こします。血液中のタンパク質は、血管外の水分を血管内に導く働きをしていますので、濃度が低下すると、逆に血管内から血管外に水分が移動し、周辺の組織を水浸しにしてしまいます。このようにして発症するのが「タンパク喪失性腸症」です。
 タンパク喪失性腸症の症状には以下のようなものがあります。血管から周辺組織への水漏れがお腹の中で起こったものが「腹水」、胸の中で起こったものが「胸水」、そして皮膚の下で起こったものが「皮下浮腫」(むくみ)です。好発年齢は3歳~7歳とされています。
タンパク喪失性腸症の主症状
  • 腹水
  • 胸水
  • 皮下浮腫
  • 下痢
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犬のタンパク喪失性腸症の原因

 犬のタンパク喪失性腸症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬のタンパク喪失性腸症の主な原因
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犬のタンパク喪失性腸症の治療

 犬のタンパク喪失性腸症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬のタンパク喪失性腸症の主な治療法
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によってタンパク喪失性腸症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
  • 対症療法 タンパク喪失性腸症の原因がよくわからない場合は、今出ている症状が悪化しないように努める対症療法かメインとなります。具体的には、胸水がある場合の胸腔穿刺、腹水がある場合の腹腔穿刺などです。
  • 食事療法 足りない分のアルブミンは肝臓における合成で補われますが、その能力には限界があります。ですからあらかじめ良質のタンパク質を含んだ低脂肪食を日常的に摂取しておくことが重要です。また脂質に関しては、長鎖トリグリセリドよりも中鎖トリグリセリドの方が良いとされます。失われがちな脂溶性ビタミン(A・D・E)を摂取することも必要です。
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