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犬のリーシュマニア症~症状・原因から治療・予防法まで

 犬のリーシュマニア症について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬のリーシュマニア症の病態と症状

リーシュマニアを媒介するサシチョウバエ  リーシュマニア症は、リーシュマニア (Leishmania)と呼ばれる原虫が感染することで発症する寄生虫症です。原虫(げんちゅう)とは、他の動物に寄生する性質を持ち、さらに病原性を有している単細胞生物のことを指します。主な宿主は哺乳動物で、サシチョウバエ類が媒介します。熱帯や亜熱帯の88ヶ国で流行しており、およそ1200万人が感染していると推計されています。
 猫では皮膚症状が顕著に現れる「皮膚型」が大半ですが、犬や人では内臓の症状が強く出る「内臓型」が多くみられます。また犬では、原虫症の一種である「トリパノソーマ症」や、癌の一種である「可移植性性器肉腫」を併発することが多いようです。1ヶ月~数年の潜伏期間を経て、以下のような症状を示し、特に重症化した場合は「ブラックフィーバー」とも呼ばれます。
リーシュマニア症(内臓型)の症状
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 鼻出血
  • 倦怠感
  • 多飲・多尿
  • リンパ節の腫れ

犬のリーシュマニア症の原因

 犬のリーシュマニア症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。リーシュマニアには、鞭毛を持たない「アマスチゴート」と、長い鞭毛を持つ「プロマスチゴート」という2つの形態があり、感染するときの形態は「プロマスチゴート」の方です。
リーシュマニア症の原因
  • 刺咬症 感染例が報告されている地域へ渡航した際、サシチョウバエ類に刺されることで感染します。具体的には中央~南アメリカ、インド、地中海などです。
  • 輸血 感染動物の血液を誤って輸血してしまうことなどで感染します。

犬のリーシュマニア症の治療

 犬のリーシュマニア症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
リーシュマニア症の治療と予防
  • 投薬治療 アロプリノールやアムホテリシンBなどが用いられます。ただし体内から完全に駆逐することが難しいため、継続的なモニタリングと投薬治療が必要です。
  • 外科手術 皮膚症状を併発し、大きな結節ができているような場合は、外科的に切除されることがあります。