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犬の鉤虫症

 犬の鉤虫症(こうちゅうしょう)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の鉤虫症の病態と症状

 犬の鉤虫症とは、鉤虫(こうちゅう)と呼ばれる寄生虫が体内に侵入することで発症する病気です。症状は主に成虫と、成虫になる直前の第四期幼虫の吸血によって引き起こされます。
腸管に寄生した犬鉤虫の成虫  鉤虫は十二指腸虫とも呼ばれる体長1~2cmの白い虫で、世界中で約10億人が感染しているとも言われており、特に暖かくて湿度が高く、衛生状態が悪い地域に多く生息しています。人に感染する鉤虫として有名なのは、インド、中国、日本、地中海地方にいる「ズビニ鉤虫」と、アフリカ、アジア、アメリカ大陸の熱帯地方にいる「アメリカ鉤虫」です。また犬に感染するものとしては「犬鉤虫」、「ブラジル鉤虫」、「狭頭鉤虫」などが知られています。
 鉤虫の卵は一旦便の中に排出され、土の中で1~2日待機した後、ふ化します。ふ化した幼虫は土中で成長を遂げ、十分に大きくなると、自力で動物の皮膚から侵入できるようになります。ですから、鉤虫がいる土の上をはだしで歩いたり、座ったりすると、容易にこの寄生虫の侵入を受けてしまうという訳です。体内に入った幼虫は、リンパ管や血流を通って約1週間後には腸に到達します。そして腸の中で成虫になり、口で小腸上部の粘膜にかみついて、宿主(しゅくしゅ)の腸壁から血を吸って生きていきます。
 犬の鉤虫症の主な症状は以下です。猫に比べて重症化するケースが多く、症状の程度によって甚急性型(じんきゅうせいがた)、急性型(きゅうせいがた)、慢性型 (まんせいがた)に区別するときもあります。
犬の鉤虫症の主症状
  • 甚急性型  主に生後1週間くらいの子犬に現れる症状です。2週目に入ったころから急に下痢、粘血便、乳を飲まなくなる、極度の貧血といった症状を呈し、最悪のケースではショック死することもあります。
  • 急性型  主に子犬に現れる症状です。食欲不振、体重減少、粘血便、腹痛による丸まり姿勢などが見られます。
  • 慢性型  主に成犬に現れる症状です。慢性的な貧血、体重減少、毛づやの悪化などが見られます。
皮膚幼虫移行症
 皮膚幼虫移行症(ひふようちゅういこうしょう)とは、主にブラジル鉤虫の幼虫が、感染した動物の皮膚の中を動くことによって引き起こされる病気です。蛇行した皮膚の腫れ、赤み、かゆみなどを特徴としています。人間においても発症しますので要注意です。
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犬の鉤虫症の原因

 犬の鉤虫症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の鉤虫症の主な原因
  • 経口感染  鉤虫は他の犬の糞便(ふんべん)を食べたり、拾い食いすることで体内に入ります。一端小腸の壁に侵入した幼虫は、その後再び腸管内に移動してそこで成虫になります。
  • 経皮感染  幼虫が皮膚の毛穴から体内に入ることもあります。その場合、気管などを経由して腸管にいたり、小腸内で成虫となりまが、血流に乗って他の臓器に移動してしまうものもいます。
  • 垂直感染  母親の胎内にいるときに胎盤を経由して、もしくは子犬の頃に母犬の母乳を経由して感染します。
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犬の鉤虫症の治療

 犬の鉤虫症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の鉤虫症の主な治療法
  • 駆虫薬  駆虫薬を投与して寄生虫を除去します。駆虫が不十分だと、組織内に潜伏した幼虫が再び腸管に移動し、容易に再感染します。
  • 輸血  甚急性型で失血が多い場合は、輸血などの措置がとられることもあります。
  • 衛生管理  屋外においては、散歩中に犬が糞便に近づかないように気をつけます。室内においては排便後、すぐに片付けるなどを習慣付けます。また、メス犬が妊娠する前に適切な駆虫をしておくことで垂直感染を未然に防ぐこともできます。 犬の散歩
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