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犬の副甲状腺機能低下症

 犬の副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

副甲状腺機能低下症の病態と症状

 犬の副甲状腺機能低下症とは、のどにある副甲状腺と呼ばれる器官から分泌される副甲状腺ホルモンの作用が弱くなりすぎた状態を言います。
 副甲状腺(上皮小体とも)とはのどの甲状腺の少し上についている分泌器官であり、副甲状腺ホルモンを生成します。副甲状腺ホルモンはパラトルモンとも呼ばれ、主に血液のカルシウムの濃度を増加させる働きをもち、骨、腸、腎臓などに作用します。 犬の甲状腺と副甲状腺(上皮小体)の位置関係  犬の副甲状腺機能低下症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の副甲状腺機能低下症の主症状
  • 神経過敏
  • 常にそわそわする
  • ぐったりする
  • 筋肉が震える
  • 骨密度の低下
  • ふらふら歩く
  • 全身性テタニー(筋肉が収縮やけいれんを繰り返す)
 以下でご紹介するのはテタニーと呼ばれる状態に陥った犬の動画です。テタニーとは血液中のカルシウムやマグネシウムの減少によって生じるしびれやけいれんのことを言います。てんかんほど激しくない点が特徴です。 元動画は⇒こちら
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副甲状腺機能低下症の原因

 犬の副甲状腺機能低下症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の副甲状腺機能低下症の主な原因
  • 副甲状腺の変性  外傷、炎症、腫瘍などで副甲状腺が変性すると、分泌されるホルモンが少なくなって低下症を引き起こすことがあります。副甲状腺の炎症に関しては、トイプードルミニチュアシュナウザージャーマンシェパードラブラドールレトリバースコティッシュテリアにやや多いとされますが、詳細な原因はわかっていません(特発性副甲状腺炎)。好発年齢は6歳ころです。
  • 甲状腺の摘出 甲状腺や副甲状腺にできた腫瘍を取り除くため、腺自体を切除してしまった場合、ホルモンの分泌量が減って機能低下症を招くことがあります。こうした発症パターンを「医原性の副甲状腺機能低下症」と言います。
  • ストレス  運動、騒音など何らかの精神的・肉体的ストレスが発症の引き金になることがあります。
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副甲状腺機能低下症の治療

 犬の副甲状腺機能低下症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の副甲状腺機能低下症の主な治療法
  • カルシウムの補給  緊急治療としては、グルコン酸カルシウム溶液や塩化カルシウム溶液の輸液が行われます。症状が落ち着いた後の長期治療としては、カルシウム剤やビタミンDの補給が一般的です。多くの場合、カルシウムが多くなりすぎる「高カルシウム血症」と、逆に少なくなりすぎる「低カルシウム血症」の両方に気を配りながら、一生涯補給を継続することが必要となります。
  • ビタミンDの補給 カルシウムの腸管からの吸収を促すビタミンDも、カルシウムと同じくらい大切な物質ですので、不足しないよう注意します。私たち人間は、皮膚に紫外線を浴びることでビタミンDを生成できますが、体内でビタミンCを生成することはできません。一方犬は、体内でビタミンCを生成することはできますが、皮膚中の「7-デヒドロコレステロール」と呼ばれる有機化合物が不足しているため、ビタミンDを自給自足することができません。つまり、人間がビタミンCを食事から補給するように、犬はビタミンDをエサから補給する必要があるというわけです。ビタミンDの摂取量に関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低要求量を公開していますので、以下のリンクをご参照ください。なおこの物質は、不足しても体調不良を招きますが、摂りすぎても「過剰症」という体調不良を招きますので要注意です。 犬に必要なビタミン一覧
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によって副甲状腺機能低下症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
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