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犬の食品アレルギー

 犬の食品アレルギーについて病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の食品アレルギーの病態と症状

 犬の食品アレルギーとは、ある特定の食材に含まれる成分に対してアレルギー反応を示してしまうことです。 犬の食品アレルギー~腸管のみならず、全身に症状が現れる  「アレルギー」とは、免疫反応が激しすぎて、本来守るべき生体に害を及ぼしてしまう状態のことで、アレルギーを引き起こす原因物質は「アレルゲン」(抗原)と呼ばれます。アレルギーには様々なタイプがありますが、食品アレルギーには「I型」と「IV型」が関わっていると考えられています。前者は、アレルゲンとの接触から30分程度で現れる即時型のことで、アトピー性皮膚炎が代表格です。後者は、アレルゲンとの接触から24時間以上かけて緩やかに現れる遅延型のことで、接触性アレルギーが代表格です。食品アレルギーにおいては、これら2タイプのうちのどちらか、もしくはその両方が関わって発症すると考えられています。
 犬の食品アレルギーの主な症状は以下です。アレルゲンが腸管に局所的に作用した後、血流に乗って散らばることで全身症状を示すようになります。「I型アレルギー」が主体の場合は、比較的短時間で現れて短時間で消えますが、「IV型アレルギー」が主体の場合は、数日たってから症状が現れ、それが数週間持続することもしばしばです。
食品アレルギーの主症状
  • 下痢や嘔吐
  • おなかが鳴る
  • おなかが張る
  • 全身のかゆみ
  • 引っ掻き傷や脱毛
  • 発熱
  • 膿皮症の併発
  • 外耳炎
食物不耐症
 「食物不耐症」(しょくもつふたいしょう)とは、食材に対する特異体質、食材組成に対する薬理学的な反応、食材組成の代謝経路の不全や障害などが原因で体調不良が引き起こされた状態のことです。具体的には、牛乳摂取後の下痢(ラクターゼの欠損)や、タマネギ摂取後の溶血性貧血(アリルプロピルジスルフィドの代謝不全)などが挙げられます。食品アレルギーと症状が似ているため、臨床的に鑑別することは非常に困難です。このことから、「食品アレルギー」と「食物不耐症」を合わせて「食物有害反応」といった漠然とした用語が用いられることもあります。
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犬の食品アレルギーの原因

 犬の食品アレルギーの原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
食品アレルギーの主な原因
  • アレルゲンとの接触 食品アレルギーの根本原因は、アレルゲンとの接触です。よくある食材としては、牛肉・豚肉・鶏肉・卵白・卵黄・牛乳・小麦・大豆・トウモロコシ・ラム肉などが挙げられます。2015年にドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学が行った最新調査によると、アレルギー反応を引き起こしやすい食材は上から順に「牛肉 (34%)」、「乳製品(17%)」、「鶏肉(15%)」、「小麦(13%)」、「大豆(6%)」となっています。 食事性アレルギー皮膚反応の原因食材リスト(犬)
  • ヒスタミンの摂取 ヒスタミンを高濃度に含有している食品を摂取することで一時的に発症することがあります。
  • 消化管粘膜の損傷 消化管粘膜に損傷があると、アレルゲンの異常な吸収を起こして発症につながることがあります。危険因子は免疫力が弱い若齢と寄生虫への感染です。
 2014年10月、アメリカ・カリフォルニア州オレンジ郡のチャップマン大学で、ペットフードに含まれている肉のDNAテストを行ったところ、約40%において表示偽装の疑いがあるとの結果が出ました。偽装が疑われた20のブランドのうち、13が犬用フードで7が猫用フードだったとのこと。この中には、食品アレルギーの原因になりやすい豚肉を含んでいるにもかかわらずその旨を表示していないなど、ペットの健康に悪影響を及ぼしかねない重大なものまで含まれていたそうです。このような偽装があると、アレルギーを引き起こす正確なアレルゲンを特定することが難しくなるため、非常に厄介です。
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犬の食品アレルギーの治療

 犬の食品アレルギーの治療法としては、主に以下のようなものがあります。
食品アレルギーの主な治療法
  • 食生活の見直し  アレルギーを引き起こしていると思われる食品を抜いていきます。適当流でやってしまうと、栄養バランスが崩れてしまいますので、市販されているアレルギー対応食を用いた方がよいでしょう。アレルギー対応食は、アレルゲンになりやすい食材を取り除いて製造されていますで、アレルゲンの特定のみならず、アレルゲンを食生活の中から遠ざけるときにも役立ちます。なお、症状が改善するまでには4~6週間かかることもありますので、あまりにも早い段階でフードに見切りをつけてしまうと、本当のアレルゲンが分からずじまいになってしまいます。
  • 投薬治療 膿皮症外耳炎を併発しているときなどは、抗生物質や抗真菌薬を投与して症状の改善に努めます。また一時しのぎとしてかゆみ止めや抗炎症薬が投与されることもあります。
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