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犬の鼻出血

 犬の鼻出血(びしゅっけつ)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の鼻出血の病態と症状

 犬の鼻出血とは、鼻の中に出血が起こった状態を言います。いわゆる鼻血のことで、鼻の外側における出血とは別物です。犬の鼻の外側における出血と鼻血の違い  犬の鼻出血の症状としては以下のようなものが挙げられます。
鼻出血の主症状
  • 鼻血
  • くしゃみやせき
  • 鼻を気にするそぶりを見せる
  • 鼻づまり
  • 呼吸が荒くなる
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犬の鼻出血の原因

 犬の鼻出血の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
鼻出血の主な原因
  • 鼻の中の傷 鼻の中の傷や異物が粘膜を傷つけて出血することがあります。また鼻を何かにぶつけて鼻骨が骨折した場合も出血します。特徴は、突然大量の出血が見られることです。
  • 鼻のできもの 鼻の中のできものが出血を引き起こすことがあります。具体的には扁平上皮ガン、繊維肉腫、悪性リンパ腫可植性性器肉腫などです。特徴は、明確な外傷がないにもかかわらず、少量の出血が長期にわたって見られるという点です。
  • 感染症 細菌や真菌の感染によって鼻から出血することがあります。具体的にはアスペルギルス、クリプトコッカス、リノスポリジウムなどです。特徴は、血液と膿が混じったドロッとした粘液を出すという点です。
  • 基礎疾患 事前に持っている病気のせいで出血が引き起こされることがあります。具体的には甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、多血症、多発性骨髄腫、血管炎などです。
  • 血小板の異常 本来であれば、外に出てくる前に固まるはずの血液が、なかなか固まらないために鼻血として現れることがあります。具体的には血小板の数が減ってしまう「血小板減少症」や、血小板の数は正常でもその機能がおかしい「血小板障害」などです。後者の理由としては、先天性の血友病(AおよびB)、フォンヴィルブランド病(下記ボックス参照)、後天性のワルファリン(殺鼠剤)中毒、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与などが挙げられます。特徴は、ひとたび血が出るとなかなか止まらないという点です。
フォンヴィルブランド病
 フォンヴィルブランド病とは、血管の内皮で生成される「フォン・ヴィルブランド因子」(VWF)と呼ばれる物質が欠損している遺伝病です。犬におけるもっとも一般的な出血性疾患の一つで、血小板の機能異常と血液凝固不全をきたします。好発品種は60種を超え、エアデールテリアダックスフントドーベルマンゴールデンレトリバーミニチュアシュナウザーウェルシュコーギーペンブロークシェットランドシープドッグなどが含まれます。
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犬の鼻出血の治療

 犬の鼻出血の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
鼻出血の主な治療法
  • 傷やできものの治療 鼻の中の傷や鼻骨骨折が原因の場合はしばらく運動を控えます。大量出血で貧血を呈している場合は輸血が行われることもあります。また鼻の中の腫瘍が原因の場合は、外科的に切除するか放射線を照射して増殖を抑えます。
  • 感染症 細菌や真菌が原因の場合は、抗生物質が投与されます。
  • 基礎疾患の治療 基礎疾患が原因の場合は、その疾患に対する治療が行われます。主な目的は、出血を悪化させる高血圧の抑制です。
  • 血小板異常の改善 血小板の異常が原因の場合は、ときに入院治療が必要になることもあります。血小板減少症に対しては、原因を特定してそれに応じた治療法が選択されます。ワルファリン中毒の場合は誤飲治療が施され、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が原因の場合は即座に投薬が中止されます。また血友病やフォンヴィルブランド病など、先天的な遺伝疾患が原因の場合は、凝固成分を含んだ血漿が補充されることもあります。
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