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犬の扁平上皮ガン

 犬の扁平上皮ガン(へんぺいじょうひがん)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の扁平上皮ガンの病態と症状

 犬の扁平上皮ガンとは、生体の表面を覆っている上皮の一種である扁平上皮がガン化した状態のことです。
犬のガンの種類~扁平上皮ガン・メラノーマ・線維肉腫  皮膚にできるガンには、メラニン細胞がガン化した「メラノーマ」、線維芽細胞がガン化した「線維肉腫」などがありますが、「扁平上皮ガン」と言った場合は、皮膚の最上部を占めている扁平上皮細胞がガン化した状態を指します。
 扁平上皮ガンは、皮膚が存在している場所であればどこにでも発生する可能性を秘めています。しかし種によってある程度好発部位が固定されており、犬においては「鼻腔」、「副鼻腔」、「舌や歯肉」(口腔)、「扁桃」、「肺」、「爪」、「股間」などに多いとされています。 犬における扁平上皮ガンの好発部位
 扁平上皮ガンの症状は、発生した部位によってそれぞれ違います。具体的には以下です。
犬の扁平上皮ガンの主症状
  • 口腔 口の中の組織としては、舌と歯肉に好発します。数週間という短期間でただれや潰瘍を引き起こすのが特徴です。好発年齢は10.5歳で、中~大型犬に多いとされます(→口腔ガン)。
  • 鼻腔・副鼻腔 鼻腔・副鼻腔に発生した場合は、鼻出血、鼻汁、顔面の変形、眼球突出、鼻呼吸の困難といった症状を示します。腫瘍は通常両側性で、数ヶ月かけて緩やかに増殖します。好発年齢は9.5歳で、オスとメスにおける発症比率は「3:1」~「4:1」です。鼻腔の前方に多く発生する「非角質化」の腫瘍は、3割以上が脳へ広がると言われています。
  • 扁桃 扁桃に発生した場合は、よだれが多い、口臭の悪化、食餌を飲み込めない、口から血のようなものを出す、扁桃の腫れ、頸部リンパ節の腫れといった症状を示します。通常は片側性で、やや右に多いとされます。転移性の高さを特徴としており、症例の9割以上で近くのリンパ節、6割以上で肺、2割以上で遠隔臓器への転移が認められるといいます。
  •  肺に発生した場合は、乾いた咳、呼吸困難、元気がない、体重減少、喘鳴(ゼーゼー)、喀血(咳と共に血を吐く)といった症状を示します。田舎よりも都会で暮らす犬に多いとされ、発生部位の多くは右肺後葉です。11歳を過ぎてから多くなるといいます。
  •  爪の下にある上皮細胞が腫瘍化した場合は、足先の腫れや潰瘍、足を引きずるといった症状を示します。大型の黒色犬で多いとされ、好発品種はスタンダードプードルラブラドールレトリバーです。10歳頃に多く発症するといわれます。
  • 股間 陰嚢(オス)や肛門といった股間に発生した場合は、コブ~潰瘍状の、数ヶ月消えない病変が皮膚上に現れます。日照時間が長い高緯度地域に多く、好発年齢は9歳です。
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犬の扁平上皮ガンの原因

 犬の扁平上皮ガンの原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の扁平上皮ガンの主な原因
  • 紫外線(?)  皮膚の扁平上皮ガンは、色素が薄い白系の犬に発症しやすいと言われていることから、紫外線への露出が一因だと考えられます。好発品種はスコティッシュテリアペキニーズトイプードル(白系)、ダルメシアンウェストハイランドホワイトテリアなどです。
  • 環境(?)  肺や扁桃の扁平上皮ガンは、都会暮らしの犬に多く発症するといわれていますので、何らかの環境因子がガンの発生に関与しているのかもしれません。具体的には、慢性的なタバコへの暴露、化学薬品、スモッグといった可能性が考えられます。
  • 不明 扁平上皮ガンの原因は、多くの場合不明です。
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犬の扁平上皮ガンの治療

 犬の扁平上皮ガンの治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の扁平上皮ガンの主な治療法
  • 手術療法  ガンが小さく、犬に体力がある場合は、外科手術によってがん細胞を除去してしまいます。肺の場合は肺葉の切除、鼻の場合は鼻甲介の切除、爪の場合は手根骨や足根骨以遠の切除などです。ただし扁桃腫瘍の場合は転移性が高く、仮に手術しても1年以上生きられるケースが10%に満たないため、外科的な切除以外の方法が優先されます。
  • 化学療法・薬物療法  ガンが進行して外科的に切除できない場合や、犬に体力がない場合は手術療法が見送られ、抗がん剤治療などが施されます。また外科手術後の補助療法としても行われます。
  • マッサージ 飼い主が日頃から、病気の早期発見を兼ねてマッサージしてあげていると、いち早く病変を見つけることができます。犬のマッサージなどを参考にしながら、体表に異常はないか、コリコリした部分はないかなどを注意深くモニターするようにします。なお見つかったコリコリがもしガンだった場合、むやみに触っているとリンパ管を通して細胞が広がってしまう危険性があります。「怪しい」と思ったらすぐにかかりつけの獣医さんに相談した方がよいでしょう。犬のマッサージ
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